BUMP OF CHICKENのライブは一回の公演でいくら利益がでるのだろう?また、ライブやコンサートの主催者側はいったいどれくらいの費用がかかるのか気になりますよね。
この記事では、さいたまスーパーアリーナでライブをした場合に掛かる費用と、私たちが買っているチケット料金は何に使われているのかご紹介いたします。。
ライブでの収益
チケットの売上
BUMP OF CHICKENのライブチケットは近年だと¥8000~9000くらいが相場です。なので1万人収容できる会場でライブをやれば
8000×10000=80,000,000円
約8千万円の売上が出ます。
では特定の会場を例に見てみましょう。
さいたまスーパーアリーナの場合の売上は?
さいたまスーパーアリーナのキャパはスタジアムモードで37000人収容できます。
¥8000(チケット代)×37000人(収容人数)=¥296,000,000
なんとさいたまスーパーアリーナでのチケット売上は2億9600万円になります。
もちろんこの金額がそのまま利益になるわけではなくライブにはさまざまな経費がかかります。
ライブ主催にかかる費用と利益
初めに断っておくと正確な利益はわかりません、というのも制作費用や出演料などの金額は規模や技術などによって異なるためです。なのでここで載せる数字、金額はおおよそのものになります。
チケット代の内訳例
画像:yaraonより引用
各費用はだいたいこのような比率になっています。あくまで例ですので参考程度に!
今回はこの比率を参考にバンプのさいたまスーパーアリーナでの費用をまとめました。(少し大きく見積もってます)
さいたまスーパーアリーナでライブをする費用と内訳
目的 | 支出 |
会場使用料 | 15,000,000円 |
プレイガイド決算手数料 | 25,000,000円 |
音響、照明、映像制作費 | 27,000,000円 |
舞台制作費&運搬費 | 30,000,000円 |
アーティスト出演料(ギャラ) | 44,400,000円 |
スタッフ人件費 | 15,000,000円 |
イベンター経費 | 30,000,000円 |
宣伝、広告費 | 30,000,000円 |
コンサート保険 | 30,000,000円 |
その他 | 20,000,000円 |
合計 | 266,400,000円 |
たまアリでのライブの利益は約3000万円!
296,000,000円(収入)-266,400,000円(支出)=29,600,000円
利益は29,600,000円ということになります。(アーティストのギャラではありません)
3億あったのに残るのが約3千万・・・多いと見るか少ないと見るか・・・国内最大規模のさいたまスーパーアリーナを例にしたので他の会場だともっと少なくなります。
メンバーに分配されるギャラは1人約1000万円
アーティスト出演料とは、出演者に支払われるギャラのことで、ベテランアーティストだと約15%程。チケット売上を3億円とし、バンプの4人で分配するなら、
300,000,000円(チケット売上)×0.15(出演料15%)÷4人=11,250,000円
1回のライブで一人約1000万円も入ってきます(*_*)
会場使用料
さいたまスーパーアリーナの使用料で本番、リハーサルなど1日借りた料金です。会場利用料の他に設備や楽屋などの利用料もかかります。
プレイガイド決算手数料
プレイガイドとはe+(イープラス)やチケットぴあ等の委託販売業者のことで、利用手数料がかかります。メジャーなところだと大体チケット代の8%程で、ここに登録料なども必要になってきます。
宣伝、広告費
宣伝にかける費用はチケット代の10%程と言われていますが、もちろんチケットが売れ残ったらさらに宣伝広告費は必要になります。
しかしバンプの場合はほぼ完売確定なので宣伝費にはそれほどお金をかけてないかもしれませんね。ツアーのCMとかやりませんからね。
コンサート保険
忘れてはならないのが“コンサート保険”です。これは何かと言うと、出演者の病気や事故、悪天候や災害によりやむを得ずライブ、コンサート中止した時に会場使用料、人件費、広告費などを保険で賄えるシステムです。
もちろん何も起きなければ3000万円という高額なお金が飛んでいくだけですが、先の藤原基央インフルエンザ罹患(りかん)や台風など、特に全国ツアー中とあれば何が起こるかわかりませんから保険は掛けなければなりません。
大きな会場では2daysやらないと利益がない
上に載せた例の、さいたまスーパーアリーナの粗利益は29,600,000円となりましたが、これは会場の使用が1日だけの場合の数値です。
実際には、本番の前日にゲネプロと呼ばれるリハーサルや機材、会場のセッティングなどの仕込みが必要なので、大きな会場ではライブ当日の前後も会場を押さえるのが普通のようです。
今日は明日からスタートするBUMP OF CHICKEN TOUR 2019 #auroraark のゲネプロでメットライフドームした🔥
皆さま明日からよろしくお願い致します🙏 pic.twitter.com/6aiY1h3nvf— CHAMA (@boc_chama) 2019年7月11日
なので1日だけのライブの場合は、先ほどの粗利益29,600,000円からさらに2日分の会場費を引くことになります。
15,000,000円(1日の会場費)×2日分=30,000,000円
29,600,000円-30,000,000円(2日分の会場費)=-400,000円
これは先ほどの内訳を高く見積もったからマイナスになってしまいましたが、実際はもちろんプラスになるように調節はしてると思いますが、それでも1日だけのライブだと利益がほとんどないことが分かって頂けたと思います。
なので主催者側としては、大きな会場の場合は2daysやりたいわけです。
近年のバンプの1dayライブを例にすると
バンプの近年のライブで1日だけの公演だったものは、「結成20周年記念Special Live“20”」、「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」などがありますが、ライブ行った人やライブ映像を見た人は思い出してみて下さい。
言い方悪いですけど「演出が地味じゃなかったですか?」
PIXMOBなんてもちろんありませんし、空間やステージの演出、スクリーンの映像もツアーと比べるとだいぶ控えめなのがわかります。
これもやはり1日だけのライブだと利益が出ないので、演出を控えめにしてコストを抑えたと言えるでしょう。
PATHFINDERでも1dayだけの会場はありましたが、比較的小さな会場だったのでなんとか採算が取れたのだと思います。
サカナクションのライブはチケットが売切れでも赤字!?
サカナクションは6.1chスピーカーシステムをライブに導入
出典:okmusic.jp
サカナクションの山口一郎さんは、「2ch(左右)のスピーカーだけでは自分たちの出したい音が出せなくなった」といった理由から、6.1chサラウンドシステムをライブに導入しています。
これは簡単に言うと、2chのスピーカーでは左右からしか聴こえなかった音が、6.1chだと360°から音が聴こえてきて立体的な音を体感できるシステムです。
このシステムをライブに導入するために2017年の幕張メッセのライブではスピーカーを238本、準備には4日間掛かったそうです。
ここまで読んでくれた方なら、察していると思います。
そう、チケットが売り切れても赤字です!
チケット代だけだと赤字だったので、グッズの売上等で採算をとっていたようです。
「今回のスピーカーシステムには、普通のイベントの3倍から4倍の経費がかかっていまして。ありがたいお話で、幕張メッセ2Days・大阪城ホール2Daysがソールドアウトしましたが、なんと赤字だっていう……あり得なくない? なので、グッズを買っていただかないと、サカナクションは『解散』ではなく『破産』になってしまう!(笑)」
山口一郎
出典:rockinon.com
自分達のやりたい音楽を表現するために徹底的にこだわるのはさすがアーティストですが、赤字でもやるって魂を感じますね。
チケット代を安くする方法はある
企業にスポンサーになって貰う
上の動画ではサカナクションの山口一郎さんとMUSICA編集長の鹿野淳さんが音楽ファンを交えて「コンサートチケットは高すぎるのか?」という討論をしています。
この動画では「ライブが始まる前に企業のCMを入れるとチケット代を安くできるかもしれない」という企業にスポンサーになって貰ってライブ費用を賄い、チケット代を安くするという方法を提示しています。
しかし、お客さんに与えるライブの感動を損ねるという理由からほとんどのアーティストはやりたくないみたいですね。
主催者側もお客さんのお金の負担を少なくしようと、いろいろ考えてくれてるみたいですね。
まとめ
バンプほど大物バンドになるとやはり利益が大きいようですが、それでも演出やライブの開催日数によってだいぶ幅があるようです。あとチケット代の他にグッズもありますから、そちらの方が利益が出そうですね。
公演延期になったPATHFINDERマリンメッセ福岡ですが、ライブを予定していた日は物販のみ開放したのですが、その場合は一応会場を使用したことになるので保険下りなそうですよね・・・
保いた険金よりもファンを喜ばせたかったのか・・・とても心が温かくなる話です。
決して安くはないチケット代ですが、こうした背景を知ると少しはそのチケットの重みや価値が分かるのではないかと思い、記事を書かせて頂きました。