「R.I.P.」歌詞の意味-記憶を共有できない切なさ-

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バンプオブチキンのRIPのジャケット

「R.I.P.」はバンプの曲の中でも異質な作品だと思う。

自分の脳内で情景が浮かぶ曲というのは藤原基央の十八番だが、この曲ほど具体的な情景描写が書かれた作品は少ないと思う。

バンプの詩は全体的に誰でもイメージが湧きやすい言葉、聴いた人それぞれが自由に脳内でイメージできるような言葉が多い中、そのイメージされるものを「指定」されているような感覚さえある。

“ザリ釣り”“長靴は嫌い傘は大好き”などザリ釣りなんてしたことない人もいるだろうし、好き嫌いは完全に個人的な趣向である。

ここまでくると完全に個人(藤原さん)の記憶ですね。

はたしてどういう意図があってこういう歌詞になったのか?

タイトル「R.I.P.」に込められた意味を考察していきます。

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なぜいくつかの魔法はもう解けてしまったのか?

ダイナモの音 うねる坂道 憧れのギア いじった誰か
ザリ釣り帰り 謎のサーチライト 始まり探し 迷ったら夜

魔法は言葉にできない不思議な事柄だと用語集で書きました。

子供の頃は憧れのギアをいじったのは妖精のしわざだとか
謎のサーチライトが宇宙人かもしれないと思ったかもしれません。

ところが蓋を開けてみるとギアをいじったのは兄弟だったり、サーチライトはただの機械だったかもしれないと言うことを大きくなるにつれてわかっていき、わからなかったり謎としか表現できなかったものが言葉で説明できるようになったんですね。

言葉にできない感覚から言葉にできるものに変わった、だから魔法が解けてしまったのです。

 

「尻尾の生えた」だけなぜ曖昧な表現なのか?

そこに君が居なかった事 分かち合えない遠い日の事

なぜイメージされるものを「指定」するような歌詞なのかはここに答えが出てますね。

自分にしかわからない記憶を具体的な言葉で説明して伝えようとしているんですね。

けどザリ釣り(ザリガニ釣りのこと)や傘を重ねて秘密基地を作ったこと、尻尾の生えた友達に会いに行ったことなど、これらを言葉で説明しても他者に伝わるのは自分の見たものと同じものは伝えられない。

それがとても寂しいことであることを表現するためにあえて自分の記憶を相手に押し付けるようなイメージを「指定」する言葉を選んだのだと思います。

なぜか「尻尾の生えた内緒の友達」だけイメージするものを指定していません。
犬なのか猫なのか?もしくはウサギだったりカメだったりするかもしれません。

まず考えられるのは“内緒”だからあえて何の動物か特定されないようにぼかした言い回しにした。

しかもその前の“秘密基地”“内緒”
で意味を被せてあり、こういう詩的な美しさをさりげなく出してますね。

もう一つは
例えばザリ釣りをしたことがある人ならその情景をイメージしやすいでしょう。
歌詞中にあるその他も経験したことがある人もいるかもしれません。

「あー、昔こんなことをしたなー懐かしい!!」

と思ってこの曲を聴いて記憶を共有しているような気分になっていたかもしれませんが
「尻尾の生えた内緒の友達」というワードによって犬なのか猫なのか曖昧にされ、

結局は藤くんの記憶にしかないことだと思い知らされるわけです。
これによって記憶を共有できない寂しさを引き立たせているんですね。



宝物とはなんだろう?

体温計で ズルして早退 下足箱に斜陽 溜め息ひとつ
母の日の朝 父さんとシャベルで 尻尾の付いた友達の墓

“悲しいことは宝物になった”

と言っているので上記の部分がそれに該当する歌詞です。

私も昔はよくズルして早退していました。

斜陽と言ってるので夕方であるのがわかります。もう少しで下校なのになんで早退したのだろう?
私も夕方に早退した経験ありますが今思い返すと自分で自分のしたことを説明できませんね。

きっと藤くんも同じでなんで早退してしまったのかわからなかったんでしょうね。
だからため息をこぼしてしまった。

1番とは違い自分の内面の話ですね。

そしてまた1番との対比をするかのように
「尻尾の付いた友達の墓」“生えて”いたものが“付いた”に変わっています。

“生えた”は文字通り生きている様子を表しています。
“付いた”って表現するとまるで尻尾と本体は別物のような感じですよね。死んでしまって魂の抜けた友達は尻尾が生えているんじゃなくて付いているいるように見えたんでしょうね。

表現方法を“生えた”という「生」を意味する言葉から“付いた”に変えることで「死」という意味を暗示してますね。

そして今度は「宝物」
辞書を引くと

1 世の中に数少なく、特に貴重なもの。宝物。財宝。
2 財産。金銭。
3 ほかのものと取り替えることのできない、特に大切なもの。また、かけがえのない人。

 

これらの意味を踏まえて宝物って奪われたくないもの、自分で所持していたいものでもありますよね。

早退してしまった時や大切な友達を失くしてしまった時の思い出や感情は渡したくても渡せないものであることを表現して「宝物」という言葉を使っているのが読み取れます。

記憶を共有できるということ

同じもの見られたら それだけでいい
同じ気持ちじゃなくても それだけでいい

同じものを見れるということは相手に余計な言葉を使わずに伝えられることです

「R.I.P.」では具体的な説明が多いが当事者同士なら

「あの日のあの時、あんなことあったよね、そこであいつがバカなことしてさ・・・」
こんな代名詞だけで会話が成り立つのです。

同じ映像を思い浮かべているわけだから当然ですよね。

R.I.P.の意味とは?

出典:しらべぇ

R.I.P→Rest In Peaceの略で安らかに眠る

キリスト教系のお墓に彫られている文字ですがタイトルにどういう意味を込めて付けたのでしょう?

“変わっていくのなら 全て見ておきたい
居なくなるのなら 居た事を知りたい”

変わった後の姿だけ見てもその前を知らないのだから変わったことはわからないですよね。
居たことも同じくすでに居なくなってしまっていたら存在すら知れなかったわけです。

“ここに誰が居たかっただろう それが僕にもなり得る事”
「ここに」というのは上記の変わったことを知れなかったこと、居たことを知れなかったことだと思います。

歌詞中で頻出する「そこに」は過去を表しています。
それなら当然「ここに」は今を表していることになる。

単なる「今」ではなく、「君の今しか知らない今」という意味だ。
それが自分にもなり得ることが眠れないほど怖いと言ってるのです。

つまり自分や他者の過去や未来を知れないことがとても怖いことだと言ってるのですが
誰にも知られずに自分の中だけに眠る記憶というのは
誰が眠っているかわからないお墓を見ているようなものだと思うんです。

お墓に刻まれた名前、R.I.P.という言葉だけではその人の人生を知ることができないように
自分の記憶も言葉だけでは相手に伝えきることができません。

タイトルの「R.I.P.」はそういう意味が込められているんだと思います。
雑誌のインタビューでも藤原さんは「R.I.P.」は“Rest In Peace/

まとめ

私たちが見ている星の光は何億年前の光が届いているらしいです。
その星はもうすでに超新星爆発で地球に光が届くころには無くなってしまっているかもしれません。

これを人間に当てはめると
例えば二十歳の人に出会ったとします。その時すでにその人の人生は始まって20年経っているわけで自分の元に届くまでに20年という時間がかかったということになります。

その人は20年分の経験や記憶を積んで、人格やら考え方が構成されているので生まれた時とは別物になっているわけです。
なんというか切ないですよね・・・

超新星爆発で今はもうない星の光が今見えているかもしれないことと同じように、出会った人の今も今はもうない過去が作り上げたものなのですから。

自分でも何が言いたいのかわからなくなってきました、この話は「supernova」の歌詞解釈をやる時にまとまればいいなと思ってます。

バンプの曲は内なる自分との対話とかそういうのが多い中でこの曲は明らかに自分ではない他者を意識した曲であると思います。
記憶を分かち合えない切なさ、今いっしょにいれることの奇跡、どれも当然じゃありませんが
それを感じている「今」は当然の出来事なのです。

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