【BUMP】Kの公式情報と歌詞の意味‐たった1度の良いことで救われた黒猫‐

BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「K」(ケー)を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の解説や歌詞の意味、制作背景などについてご紹介します。「K」を聴く際に参考にして下さい。


参考資料

  • ROCKIN`ON JAPAN 2000.06
  • bridge 2013 SPRING
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BUMP OF CHICKEN「K」の公式情報

BUMP OF CHICKEN「K」の基本情報

タイトルK
発売日2000年3月25日(ハイラインレコーズ)
2004年4月28日(トイズファクトリー)
作詞作曲藤原基央
完成時期
収録作品THE LIVING DEAD(2nd Album)
タイアップなし

BUMP OF CHICKENの「K」(ケー)はアルバム『THE LIVING DEAD』に収録されている楽曲です。

物語形式の歌詞というスタイルを取り入れた最初の曲で、この物語形式は当時の音楽の常識を打ち破る革新的な歌詞でした。

BUMP OF CHICKEN「K」のタイトルの意味

聖なる騎士を意味する“HOLY NIGHT”

タイトルの「K」とは、歌詞の物語を読むとわかりますが、「HOLY NIGHT」(ホーリーナイト)と名付けられた黒猫が、親友との約束を果たすために勇敢な最期を遂げたことから「NIGHT」の頭文字に“K”を加え、「HOLY KIGHIT」(聖なる騎士)という意味の名前にしてあげたというお話です。

黒猫の“K”と勘違いされる

アルバムリリースされた当初は、リスナーから「Kは黒猫のKですか?」と勘違いされたことがあったようです。

藤原はこれに対し、そんな単純なタイトルを付ける浅はかな人間だと思われたことがショックだったようで、「もっと詞を読んで下さい。もっと英語勉強してください(笑)」とコメントしています(笑)

BUMP OF CHICKEN「K」の制作背景

初の物語形式の歌詞

今やBUMP OF CHICKENを象徴する“物語形式の歌詞”ですが、その初作品となったのが「K」でした。

物語形式にしようと思ったきっかけは、当時、歌詞が書けない絶頂だった藤原が「いっそのこと物語形式で書いてしまおう」と思ったことでした。

“K”がピークだったんですよ、詞が書けないピーク。だから、“K”から物語形式にしちゃおうかなとか思って

藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2000 JUNE

最初は気が進まなかった

藤原基央は作詞方法にこだわりを持っており、実体験しか歌詞を書きたくありませんでした。なので、フィクションである猫の物語を書くのには最初は抵抗があったようですが、うまく実体験と物語を融合させることができたようです。

2週間しかないレコーディング期間

『THE LIVING DEAD』に収録されている曲は「ランプ」を除き、約2週間のうちにレコーディングするという過密スケジュールでした。

レコーディングの際、藤原は最初にメンバーにオケの指示を出しておいて、オケが完成するまでに歌詞とメロディを考えるという、突貫工事に近いような混沌とした作業でした。

その曲にどういうメロディでどういう言葉が乗るのか、それはどういうテーマなのかって誰も知らない状態で

藤原基央
出典:bridge 2013 SPRING

そういった短い時間で歌詞を書かなくてはならない状況で思いついたのが“物語形式の歌詞”でした。



BUMP OF CHICKEN「K」の歌詞の意味

歌詞に隠されたアルファベットの秘密

黒猫の呼び方が数多くある

「K」の歌詞の特徴とも言えるのが、一人称二人称三人称などの“呼び名”が沢山あることです。

黒猫、猫、おチビさん、友達、黒き幸、ホーリーナイト、俺、悪魔の使者、聖なる夜、彼、聖なる騎士

番号黒猫の呼び名
1黒猫
2
3おチビさん
4友達
5黒き幸
6ホーリーナイト
7
8悪魔の使者
9
10聖なる夜
11聖なる騎士

1曲の中にこれだけ沢山の呼び名があるのは、「視点やその時の感情で見え方が変わる」という意図的に盛り込んだメッセージだと思われます。これはjupiter期まで多く登場するテーマなので、気になった方はぜひそこに注意して曲を聴いてみて下さい。

11番目のアルファベットはK

上の図を見るとわかるのですが、曲中に登場する黒猫の呼び名は全部で11個あります。アルファベットの11番目の文字は偶然なのか“K”になっています。

ただの偶然かもしれませんが、これだけ曲中に黒猫の呼び名を盛り込んだのもその為かもしれません。

Kで伝えたいこと

「K」で歌われているテーマは“絶望の中の希望”であり、どれだけ周りから嫌われて苦しい人生を送っていても、たった1回の良いことがあれば、それまでのことを帳消しできるほどの喜びがあることを歌っています。

絶望の中での絵描きとの出会いは、黒猫にとって救いという言葉では表現しきれないほどの喜びがあったと思います。

1回だけいいことがあったら、その1回で全て帳消しにできるぐらい喜べる素晴らしいことだと思うんですよ

藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2000 JUNE



「K」に登場する恋人は魔女説

ここからは話を切り替えて、物語に登場する《恋人》は魔女なのではないか?という説を考察したいと思います。

魔女のパートナーとしての黒猫

始めに予備知識として知っておいてほしいことは、中世ヨーロッパでは“魔女狩り”が行われていた時代で、何万人もの女性が処刑されました。魔女は黒猫をパートナーとして選ぶことが多く、一般人からは、黒猫を飼っている者は魔女の証拠だとされていました。

それゆえ、黒猫は中世ヨーロッパにおいて、“魔女の使い魔”“不吉の象徴”と見なされていました。

物語で黒猫は“悪魔の使者”と呼ばれる描写がありますが、当時のヨーロッパでは魔女は悪魔崇拝者とされていたので、黒猫が悪魔の使者と呼ばれる理由も納得です。

黒猫が不吉だという話はヨーロッパで有名で、黒猫が前を通ると不幸がおこる、黒猫をまたぐと不幸がおこるんなど言われています。
また魔女の使い魔という寓話もあり、猫の飼い主は悪魔崇拝主義者、魔女とみなされたりしたそうです。魔女は黒猫をペットとして、聖なるものと見なして飼っています。

「K」の疑問点

「K」の歌詞には不思議な描写が数多く存在します。藤原は物語形式で歌詞を書くにあたって「どういう言葉でその行動を表現するかによって非常にセンスが出る」“bridge 2013 SPRING”で話しているので、描写にはこだわっていたことがわかります。

以下に「K」の疑問点・不思議な描写のシーンをまとめます。

・なぜ鍵尻尾なのか?
・なぜ絵描きは黒猫に固執したのか?
・2度目の冬に名前を付けるのは遅すぎる
・黒き幸ホーリーナイトの由来は?
・なぜ絵描きは命を懸けてまで黒猫の絵を描いたのか?
・なぜ恋人は一度も会いに来なかったのか?
・なぜ黒猫は恋人の家まであと数キロだとわかったのか?
・手紙には何が書かれていたのか?

以上、「K」の物語の疑問点を挙げましたが、これらの謎は恋人が魔女であり、黒猫は元々絵描きの恋人に飼われていたと考えると筋が通るのです。

ちなみに魔女は社会から悪であると見なされていただけで、魔女自体が悪者というわけではありません。絵描きはそんな魔女の悪評を取り除く活動をしていたのではないかと思われます。



仮説を元に考察

魔女ゆえに黒猫を捨てるしかなかった恋人

とある女性は昔、黒猫と暮らしていた。しかしある日、魔女狩りが行われ黒猫を飼っている者は魔女と見なされ魔女裁判にかけられるようになった。なので恋人は魔女であることを隠すため仕方なく黒猫を捨てるしかなかった。

鍵尻尾の黒猫を探しに行く絵描き

それから彼女は絵描きと知り合い恋人になる。そこで絵描きは彼女には黒猫のペットがいたことを知らされる。恋人が黒猫といっしょにいることはできないので、絵描きが黒猫を探しに行く、鍵尻尾の黒猫を目印にして。

絵描きは鍵尻尾の黒猫をようやく見つけた。しかし飼い主に捨てられ、街では忌み嫌われていた黒猫は人を信用することができなかった。

絵描きが「僕らよく似ている」と言ったのは同じ人を知っているからだ。

ホーリーナイトの名前の由来

それから猫は絵描きと二度目の冬を過ごす、そこで絵描きは名前をやった。二度目の冬ということは最初出会ったのが冬だとしても最低約1年経っているがなぜそのタイミングで名付けたのか?

それは魔女は黒猫を聖なるものとしていたから、聖なるクリスマスの日と重ねたかった。

またその日はキリストの誕生祭、キリストのように救世主になることを望んでクリスマスの日に名前をつけたかった。

絵描きの夢、黒猫の絵を描き続けた理由

絵描きのスケッチブックはほとんど黒猫の絵だった。なぜならそれは魔女=悪、黒猫=悪魔の使者という社会に浸透してしまった概念を払拭したかったから。

黒猫の絵が売れれば、それは黒猫が悪ではないという理解者がいるということになる。それと同時に自分の恋人も魔女だが悪ではないことを証明したかった。

それが絵描きの夢だった。魔女と黒猫が悪だという概念を覆せたら恋人とも普通に暮らしていける、そんな夢を見て黒猫を探しに飛び出したのだ。

黒猫は恋人の家を知っていた

絵描きは貧しい生活に倒れてしまう。そこで黒猫に真実を告げる。自分が黒猫の絵を描き続けたこと、恋人は黒猫の元の飼い主だったことと捨ててしまった理由を。

それを聞いた黒猫は手紙を受け取り走り出す。絵描きの恋人の家、自分の家へと向かって。
当然のことながら恋人の家は知っていた。

恋人の家まであと数キロ先とだとわかったのもそのせいだ。

もともと自分が住んでいた家なのだから。

黒猫は走った、自分を不吉の象徴ではなく、やさしさと温もりを全て詰め込んで聖なる夜と呼んでくれた親友の為に、救世主になるために。

手紙の内容

~この手紙を読んでいるということは僕はもうこの世にはいない。魔女と黒猫のイメージを払拭することはできなかった。
この子の名前は黒き幸holly night、聖なる夜って付けてあげたんだ。
魔女は黒猫を聖なるものと見ているし黒き者にも幸があるように(魔女、黒猫のイメージが払しょくされること)キリストのように救世主になってくれることを願ってそう名付けた。
絵は売れなくて理解者はいなかったけど君がこの子の勇敢な姿を語り継いでくれ~

手紙を読んだ恋人は、勇敢な黒猫にKという一文字をつけてHolly Knightと名付けて庭に埋めた。

最終的にその生き様が誰かの胸を打っていたらいいなと。そういう思い

藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2000 JUNE



BUMP OF CHICKEN「K」のライブ情報

「K」のライブ演奏記録

初披露日時2000年3月27日
初披露ライブツアーポキール@LIVE SPOT LOOK (千葉県)
演奏頻度

「K」のライブ映像が収録されている作品

収録作品備考

RAY
初回限定盤に付属のDVDに収録。

20
本編12曲目に収録。

BFLY
本編3曲目に収録。
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