天体観測の楽曲情報と歌詞の意味‐答えがないから生きていける‐

BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「天体観測」(てんたいかんそく)を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の解説や歌詞の意味の考察、制作背景、MV情報などについてご紹介します。「天体観測」を聴く際に参考にして下さい。


参考資料

  • トーキンロック! 2001 MAY
  • ROCKIN`ON JAPAN 2001 JUNE、2013 AUGUST
  • bridge 2013 SPRING
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天体観測の楽曲情報

基本情報

バンプオブチキンの天体観測のジャケット

タイトル天体観測(3rd Single)
カップリング
発売日2001年3月14日
作詞作曲藤原基央
完成時期2000年
収録アルバムjupiter(3th Album)
タイアップ
  • ドラマ「天体観測」挿入歌
  • NTT docomo「dヒッツ ~夏の想い出篇~」CMソング

BUMP OF CHICKENの「天体観測」(てんたいかんそく)はバンプ通算3枚目のシングルです。バンプを一躍有名にした楽曲で、直井曰く「バンプの売れっ子スター」。CDの売上枚数は約60万枚にものぼります。

前のシングル現在次のシングル
バンプオブチキンのダイヤモンド
ダイヤモンド
バンプオブチキンの天体観測のジャケット
天体観測
バンプオブチキンのハルジオンのジャケット
ハルジオン

jupiterのアルバム楽曲情報と制作背景へ



曲の解説

バンプを一躍スターへ導いた楽曲『天体観測』は60万枚近くも売れており、恐らく知らない人はいないと思わせる程の知名度があります。バンプと言えば天体観測と結び付けている人も多いようです。

イントロのギターの音は流れ星を表現していて、リフに関しては当時、藤原がクイーンのギターであるブライアン・メイの影響を受けていると話しています。

制作背景

作詞の為に箱根へ

藤原は小説家がよく旅館に缶詰めになって執筆するような感じで、「箱根に行けば曲が書けるんじゃないか」と思い箱根に行きました。

しかし現実はそんなに甘いものじゃなく、全く曲が書けませんでした。ディレクターが箱根に藤原が作曲する為に行ってることを知ると「箱根は温泉に入る為に来るところだから帰ろう」と言って迎えに来てくれました。

そして東京に帰ると、不思議と天体観測の歌詞が書けました。当時の藤原は悩みを抱えており、「かつてない苦しみだった」と話しています。

カタカナ表記

歌詞に出てくる《フミキリ》《モノ》がカタカナ表記なのは、作詞中に走り書きで書いたため、とっさに漢字が出て来なかったのが、そのまま歌詞カードになってしまったそうです。

《「イマ」》もカタカナ表記ですが、こちらはカギ括弧付きなので、意図的な比喩表現だと思われます。

《フミキリ》はたぶんとっさに『踏む』っている字が出てこなかった(笑)それがそのまま残っちゃってますね

藤原基央
出典:bridge 2013 SPRING



天体観測のMV情報・ロケ地

監督番場秀一
撮影場所‣ロケ地狛江市(東京都)
出演BUMP OF CHICKEN、子役
収録作品「jupiter」DVD or VHS

「天体観測」のPV(MV)は、メンバー4人の幼少期を演じる子供たちと、夜の屋上で演奏するメンバーのシーンが交互に織りなすストーリーになっています。

「jupiter」(DVD)のメイキング映像では、メンバーが子役達と戯れる様子が収録されています。



天体観測の歌詞の意味

曲の解説

答えがないところに答えを探す歌

「天体観測」のテーマは“答えがないところに答えを探すこと”であると藤原基央は何度も話しています。

※この考察・解釈の記事は、長くなることをご了承下さい

フミキリ

前半に登場する《フミキリ》とは立ち止まることの喩えであると思われます。《明日が僕らを呼んだって返事もろくにしなかった》という様子からも、未来から目を背けていることがわかります。

最後の方に出てくる《フミキリ》は、“踏み切る”という意味で使われていて、最初とは逆に“前に勢いよく進む”というニュアンスを持っています。



登場人物

登場人物は3人であり、同一人物

「天体観測」に登場する人物は3人で、《君》も含めどれも自分自身です。さらにそれは、自分の中の自分ではなく、「過去の自分」、「現在の自分」、「未来の自分」です。

基本的にこの歌詞に、他者は登場しません。解釈は自由ですが、他者を登場させると歌詞の辻褄が合わなくなります。この曲がラブソングではない理由もここにあります。

・過去の自分→君
・現在の自分→僕
・未来の自分→君
※基本的に他者は登場しない

《二分後》と《大袈裟な荷物を背負う君》

過去や未来というものは“今”という要素があってはじめて成り立ちます。これを言い表した言葉が《二分後》《大袈裟な荷物を背負ってきた君》なのです。

歌詞の冒頭部分、僕はベルトにラジオを結んでいますが、ベルトにラジオを結ぶ合理的な理由は両手が自由に使えるところです。

ラジオには鞄等に取り付けるストラップが付いている

じゃあ何故、両手を自由に使いたかったのか?

それは大袈裟な荷物をしょっていたからなのです。

え?ちょっと待って‼荷物を持ってきたのは二分後にやってきた君じゃないの!?と思うかもしれません。しかし、二分後にやってきたのがもう一人の自分だとすれば筋が通ります。

二分後=二つに分かれた後

まず午前二時にベルトにラジオを結んだ主人公がフミキリに向かいます。

仮にこの午前二時を「現在」とします。

そしてその二分後に君が来ます。時間が二分経過したので、今度は午前二時二分が現在になり、先ほどの午前二時は「過去」になってしまいます。

「現在」の推移と言いましょうか、今もいつか過去になってしまうわけです。

午前二時から二分経過したことによって「今」を「現在」と「過去」の二つに分けてしまったのです。

つまり二分後というのは、「現在」と「過去」の二つに分かれた後という意味になります。時間の経過を表すのに一分後や三分後でなく二分後を選んだ理由はこの為でしょう。

君と二人追いかけていた

登場人物がどれも自分自身であることを裏付けるポイントがサビに隠されています。

1番サビ→“君と二人追いかけていた”【過去形】
2番サビ→“今も一人追いかけている”【現在形】

注目すべきは2番のサビの“今も”というフレーズ。過去では二人で追いかけていたが現在は一人で追いかけている。正しい日本語を使うなら“今は”一人追いかけていると言った方が文になじみます。

しかしこれは間違いではなく、今も昔も一人(同一人物)でほうき星を探していたという意味です。



なぜ天体観測をしたのか?

イマというほうき星を探すために天体観測をした

天体観測の目的は歌詞にある通り“イマというほうき星”を探すことです。

しかし、先ほどの説明のように“今”という時間は、時間の経過ですぐに過去になってしまいます。なのでイマを探すためには、過去(さっきまで現在だった時間)を知らなくてはならないのです。

簡単に言えば、「現在」と「過去」の間に「イマ」はあるのです。「カルマで言う所の《1と0の間》とも言えますね。

ほうき星の意味

ほうき星とは、ただの彗星ではなく、〈尾を引く彗星〉のことを意味します。ここに今を探す手がかりが隠されています。

ほうき星とは上図のように、尾を引きながら流れる星です。ほうき星の先頭を「現在」とするなら、それより後ろは「過去」になります。

今という時間はすぐに過去になってしまうので、今がある場所は「現在」と「過去」の間なのです。上図では「イマ」と表記してある部分です。これで歌詞でも《今》ではなく《イマ》と書かれているのか、わかって頂けたと思います。

つまり重要なのは、彗星の尾びれの部分なのです。だから単なる“星”ではなく“ほうき星”という言葉を選んだのです。ちなみに「ray」という楽曲も、単なる光ではなく“光線”である必要があったと話しています。

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バンプオブチキンのレイ


なぜ「イマ」を追いかけるのか?

自分は何に突き動かされているのか?

主人公はなぜ「現在」と「過去」の間にある「イマ」を探していたのか?

それは自分が何によって突き動かされているのかを知る為です。

私は何故ここにいるのか?私は何故夢を追いかけるのか?それを知るには、0を1に変えた時の気持ちを知らなければなりません。

それでは天体観測をするに至るまでの動機を例に見て見ます。

天体観測に至るまでの動機

星に恋焦がれる

宇宙のことを想像する

望遠鏡を手に入れる

恋焦がれていた星を見る為に、天体観測する

天体観測をするに至ったもともとの原因は星に恋いこがれたから。言い換えればなぜ星に心を動かされたのかその理由を知りたくて、心の中を知りたくて実際に天体観測をしてみたわけです。

つまり心の中にある自分を突き動かしているモノを知りたくて天体観測をしたのです

心の中は見えないから、《見えないモノ》を見ようとしたのでしょう。カタカナ表記は比喩だと最初に言いましたがここでは「心の中にあるもの」です。

形の無いモノは定義できない

2番の歌詞では「幸せの定義」や「哀しみの置き場」など、形ないものを形容しようとする様子が描かれています。これらは「今」という時間のように、“見えないモノ”、“形容できないもの”であることを説明しています。

これは藤原基央の発言「答えの無いところに答えを探す歌」に合致する部分です。



二分後に君が来ない理由

最後の君と二人追いかけている》は「今」と「未来」の自分と二人で追いかけています。

“追いかけている”と現在形で書かれているので、一見すると「今の自分」だと思うかもしれませんが、「今の自分」だと一人なので二人で追いかけているという表現に合いません。

答えは以下の歌詞に書かれています。

前と同じ 午前二時 フミキリまで駆けてくよ
始めようか 天体観測 二分後に君が来なくとも

「天体観測」/BUMP OF CHICKEN

注目してほしいのは最初と違い二分後に君が来ないこと(詳しくは[二分後=二つに分かれた後]の章を参照)

二分後に来るとしたら「過去の自分」なのだから、二分経過しても現れないなら最後の部分の「君」は過去の自分ではないのです。

過去の自分と今の自分の二人以外に、ほうき星を二人で追いかけられるのは「現在の自分」と「未来の自分」の二人だけ”しかありません。

最後は未来に想いをはせる心の正体を知りたくて、その心を探しにほうき星を探すわけですね。

最初は過去に囚われていた主人公が、最後には未来に目を向けるという、起承転結がはっきりした物語です。

天体観測で伝えたいこと

答えがないところに答えを探す唄

「天体観測」という曲は、自分を突き動かしているモノを知りたくて行動を起こすわけです。人は気付かないうちに、何かに恋焦がれたり、夢を持ったりしますが、その気持ちが生まれた原因を突き止めようとしても、気持ちには形がないので、尾を引く彗星のように掴むことができないのです。

つまり、答えは永遠に掴めないのです。

人は、永遠に掴めないことを知りながらも、不思議な力によって突き動かされているのです。これが「答えがないところに答えを探す唄」と藤原基央が力説する所以です。

言い換えると「形の無いものに形を求めている」とも言えます。

答えがないから生きて行ける

人生は自分を突き動かす「今」の連続で出来ていて、結局のところずっと自分を探しているのです。自分と言う存在を見つけ出して「定義」したかった。

私たちは生まれたら死ぬまでずっと自分を探しているのです。もし人が生きる意味や未来に何が起こるのかなどの答えを知ってしまったら、生きる意味がなくなってしまいます。

私たちは答えがないから生きていけるのです。ずっと探している状態が正しいのです。

今追いかけて掴もうとしてんだけど、今ってものは絶対に掴めないんだっていうね

藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2001 JUNE



雨の唄

なぜ天体観測が雨の唄なのでしょう?それは答えを探して天体観測をしたのに“答えがなかったから”でしょう。

学校での勉強には必ず答えがあります、答えや定義は人を安心させます。
しかし心には答えや定義がないことに気づいてしまった。

答えを導き出して晴れやかな気持ちになろうとしていたのに、晴れるどころかそれがないことに気づいて“痛み”になってしまった。

それが「予報はずれの雨」であると表現したのでしょう。



天体観測のライブ情報

ライブで敢えて演奏しなかった

全ての曲を平等に扱うバンプにとって、「天体観測」だけが世間で特別扱いされていることに対し面白くないと感じた彼らは、敢えて「天体観測」を演奏しないという捻くれた行動を取りました

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001」に出演した際には、ファン以外の人が集まるフェスで、知名度のある「天体観測」をやらない気でいたところをプロデューサーからお叱りを受けています。「LOVE&PORKIN」ではツアーを通して演奏されませんでした。

バンプは徐々に「天体観測」を受け入れ、自分達の名刺代わりの曲として披露するようになっていきました。



ライブでの演奏

初披露日時2001年3月10日
初披露ライブネオストリームライブVol.2@SHIBUYA-AX (東京都)
演奏頻度
演奏されたライブ/ツアー

ライブ映像が収録されている作品

収録作品備考
ゴールドグライダーツアーのジャケット
GOLD GLIDER TOUR
本編16曲目に収録。

WILLPOLIS 2014
本編12曲目に収録。
結成20周年記念ライブ20のジャケット
「20」
本編1曲目に収録。

BFLY
本編18曲目(EN)に収録。

PATHFINDER
本編3曲目に収録。

LIVE AT STUDIOCOAST
本編3曲目に収録。

RAY
初回限定盤に付属のDVDに収録。
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