BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「話がしたいよ」を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の解説や歌詞の意味の考察、制作背景などについてご紹介します。「話がしたいよ」を聴く際に参考にして下さい。
「話がしたいよ/シリウス/Spica」のCD収録曲 | ||
話がしたいよ | シリウス | Spica |
参考
- CUT 2018年11月号
- BUMP OF CHICKENのPONTSUKA !! 2018年9月16日放送回
- 【川村元気×落合陽一】お金と幸福/NewsPicks
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」の公式情報
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」の基本情報
タイトル | 話がしたいよ |
発売日 | 2018年10月15日(先行配信リリース) 2018年11月14日(25th single) |
作詞作曲 | 藤原基央 |
完成時期 | 2018年7月頃 |
収録アルバム | aurora arc(9th Album) |
タイアップ | 映画「億男」主題歌 |
BUMP OF CHICKENの「話がしたいよ」は25枚目のシングル「話がしたいよ/シリウス/Spica」に収録された楽曲です。2018年10月9日にSOL(スクールオブロック)で初オンエアされ、10月15日には先行配信とMVが公開されました。
ジャケットの写真はボイジャー1号が太陽系を離れる時に地球を撮影したものです。撮影された地球が淡く青い点(a pale blue dot)だったので、この写真は「ペイルブルードット」と名付けられました。
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ/シリウス/Spica」のシークレットはこちら
前のシングル | 現在 | 次のシングル |
シリウス(11th digital) | 話がしたいよ(25th single) | Aurora(12th digital) |
BUMP OF CHICKEN「aurora arc」のアルバム楽曲情報と制作背景へ
「話がしたいよ」の制作背景
体力切れだからこそ書けた歌詞
「望遠のマーチ」のレコーディングが終了した後に、映画「億男」の主題歌のオファーを受け制作が開始されました。
シリウス、Spica、望遠のマーチを立て続けに仕上げた直後に「億男」、「からくりサーカス」、「グッドワイフ」の主題歌の依頼が一気に3つ来たので藤原は完全に一杯一杯になりました。
そこで藤原は自分が体力切れだと気付き「体力切れだからこそ書けるものがある」と思い、精神世界のベンチに腰掛けました。「話がしたいよ」はその精神世界のベンチから見えた風景がそのまま曲になっています。
体力切れの状態で、腰掛けた精神世界のベンチから見た風景がそのまま曲になっています
藤原基央
出典:CUT 2018.11
曲の完成後に川村元気は新たに「ロッテ創業70周年CM」のテーマソングを依頼しています。
藤原基央と川村元気の出会い
藤原基央と川村元気の対談 出典:CUT 2018/11
「億男」の原作者である川村元気は1979年生まれで藤原基央と同い年です。ちなみに「藤くん」と呼んでいます。
二人が顔を合わせるのはこれが初めてではなく、アニメ「血界戦線」の時に既に出会っていました。アニメの監督は松本理恵でしたが、川村元気はチーフプロデューサーとして作品に関わっていました。
川村元気はBUMP OF CHICKENが主題歌を手掛ける意味は物語のパラレルワールドとしてもうひとつの物語がそこに出現して、立体性が生まれると話しています。
藤くんの曲は、1回聴いただけだと「ん?」ってなるけど、何回か聴くうちに「なるほど、こういうことだったんだ」ってピースがはまってくる感じがある。聴いていくうちに「ここまで考えていてくれたんだ」と感動することが多いです”
川村元気
出典:CUT 2018.11
映画「億男」の主題歌をBUMP OF CHICKENが担当
映画「億男」基本情報 | |
原作 | 川村元気(小説家・映画プロデューサー) |
監督 | 大友啓史(るろうに剣心、3月のライオン等) |
脚本 | 渡部辰城、大友啓史 |
キャスト | 佐藤健、高橋一生、黒木華、沢尻エリカ、藤原竜也、他 |
原作者の川村元気は本を書くときはいつも「死と恋愛とお金」をテーマにしており、「億男」では特にお金にフォーカスしていて「お金と幸せの答え」を表現しています。
「億男」は落語が物語と関係していますが、“落語”は“噺”(はなし)という言い方もあります。藤原基央はこれに気付かずタイトルを付けましたが、タイアップだとこういう偶然の一致があまりにも多く起こります。
話がしたいよのMV情報・ロケ地
話がしたいよMV情報 | |
監督 | 東市篤憲(A4A) |
撮影場所・ロケ地 | 屋上シーン:HOXSTON STUDIO(東京 世田谷区) バス停:イメージスタジオ109前(東京 目黒区) |
出演 | BUMP OF CHICKEN |
「話がしたいよ」のMVはA4Aの東市監督によって手掛けられました。光の演出を得意とする東市監督ですが、今回は曲の持つ世界観を最大限に引き出すためにシンプルなMVに仕上げられています。
バス停の撮影場所は目黒区にある「イメージスタジオ109」の前にベンチをセットしたもので、屋上のシーンは世田谷区の「HOXSTON STUDIO」(ホクストンスタジオ)で撮影されました。
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」の歌詞の意味
「話がしたいよ」の歌詞の解説
ガムは精神世界へのスイッチ
「話がしたいよ」の歌詞は、バスを待つ間のわずかな時間に、過去や未来、遠い場所などを行き来する心の動きが描かれています。
ガムを口に入れることが精神世界へ入るスイッチになっており、バスの到着と共にガムを吐き出し現実世界に戻るというストーリーになっています。
“ガム”という日常的なモチーフが登場しますが、「アリア」以降の楽曲には“紙飛行機”、“風船”、“コーラ”など日常生活をイメージさせる言葉が多くなってきています。
今ここにないものを求める欲望
君がここにいたら 君がここにいたら 話がしたいよ
「話がしたいよ」/BUMP OF CHICKEN
「話がしたいよ」のテーマは、「今、ここにないもの」を求める欲望です。欲には食欲、睡眠欲、性欲などの「肉体的欲求」や、夢、願望、承認欲求などの「精神的欲求」さまざまですが、それらを満たすことが人間の幸せや生きる力になっていることは否定しようのない事実です。
この辺りは「億男」と重なる部分でもありますが、ここで伝えたいことは“自分の内側の漠然とした気持ち”に突き動かされて人は生きているということです。
ボイジャーを引き合いに出した理由
2番の歌詞で唐突に《ボイジャー》が登場しますが、これも「今、ここにないもの」を象徴するモチーフです。同時に人間と機械の比較になっていて、ボイジャーは体が宇宙にあり、ボイジャーに想いを託し、打ち上げた人の心は地球にあります。
つまりボイジャーは体と心が別の場所にあるのに対し、人間は体と心が同じ場所にあります。
体と心のどっちに ここまで連れて来られたんだろう
「話がしたいよ」/BUMP OF CHICKEN
話がしたいよで伝えたいこと
主人公の心の動きを描いた物語になっていますが、「話がしたいよ」で最も伝えたいことは“心はどこにあるのか?”ということです。(この考えは映画「億男」とリンクする部分です)
「遠い所にいる君」、「太陽系外を旅するボイジャー」、「もう戻ることのできない過去」・・・バスを待つ間に主人公の心は遠い未来や取り戻せない過去などを行ったり来たりするわけですが、それを考えてる場所、心がある場所は今なのです。
「話がしたいよ」という楽曲は普段忙しい日々を過ごしていて人生に疲れたり迷ったりした時、ちょっと立ち止まって一人になって、自分の心の場所を確かめてほしい、【あなたが本当に話したい人はいつでも“ここ”にいる】というメッセージを感じました。
ひとりぼっちだからこそ痛烈にわかることっていうのが、曲にも出てると思います
藤原基央
出典:CUT 2018.11
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」の詳しい歌詞解釈へ
番外編:藤原基央のお金に関する価値観
藤原は「億男」主題歌のオファーを受けた時に、「お金にまつわる人間の煩悩」「新しいお金の価値観」「身近にある気付きにくい小さな幸せ」の3つを包み込む曲にしてほしいと依頼されました。
「身近にある気付きにくい小さな幸せ」は先に述べた通りですが、お金とは本来、形の無いものです。紙幣や硬貨を【現れたお金】と書いて「現金」と呼ぶように、お金の本質は形の無いものです。原作者の川村元気氏は「お金の正体は信用」とコメントしています。
藤原の考える「新しいお金の価値観」とは、お金とは心のように見えないもので、心の状態であることを「話がしたいよ」では比喩的に歌われています。
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」のライブ情報
「話がしたいよ」のライブでの演奏
初披露日時 | 2018年12月28日 |
初披露ライブ | COUNTDOWN JAPAN18/19@幕張メッセ国際展示場(千葉県) |
演奏頻度 | – |
演奏されたライブ/ツアー |
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収録されている映像作品
収録作品 | 備考 |
aurora arc | 初回限定盤に付属のDVDに収録 |
Mステに約4年ぶりに出演し「話がしたいよ」を披露
2018年10月19日の「ミュージックステーション2時間SP」でBUMP OF CHICKENが「話がしたいよ」を披露しました。Mステへの出演は2014年の出演から約4ぶりのことでした。