用語解説『思い』と『想い』意味の違い

BUMP OF CHICKEN用語解説、今回は『思い』『想い』の意味の違いについて考えていきたいと思います。

辞書で引くと『思い』と『想い』の使われ方に大きな違いはありませんでしたが「おも(う)」という訓読みが常用漢字表に載っているのは「思う」だけだということ。公文書や教科書などに「想う」を用いることはないそうです。

なので基本的には「思う」という漢字を使いますが、もちろん「想い」という漢字も使われています。ちなみにバンプの歌詞でも「思う」と「想う」の二つが使われています。

そこで2つの漢字の使われ方の違いを見てみたいと思います。

「思」という漢字には「思考」や「意思」、「思案」という熟語があるように、「思」という文字には考え・気持ち・願いなどの意味があります。

「想」という漢字には「想像」や「発想」、「回想」、「予想」などの熟語からも分かるように、「想」という文字には頭にイメージするものの意味があります。

文化庁の記載では「“おもい”の対象に具体的なイメージがある場合は想い、それ以外は思い」を使うそうです。

以上のことをまとめると

想い⇒相手や物など具体的なイメージのともなう気持ち

思い⇒具体的なイメージのない考え・気持ち

「好きな人のことをおもう」の場合は特定の誰かをイメージしているので「想う」ですね。

こう考えるとバンプの歌詞で面白いことがわかります。結論から言ってしまうと「思う」は自分(内面を含む)のこと、「想う」は自分以外の誰かを表しています。

“黒の想いが赤に届きますように”

「ベンチとコーヒー」/BUMP OF CHICKEN

この「黒」と「赤」は全部の歌詞を見てもらえるとわかりますがランドセルの色を表しています。つまり男の子の“おもい”が女の子のことをイメージしているのがわかります。



ちなみにバンプの歌詞で《想い》が使われているのは私が確認したところ『ベンチとコーヒー』と『ノーヒットノーラン』、『銀河鉄道』の3曲だけです。

“相手を想うならやめてやれよ”

「銀河鉄道」/BUMP OF CHICKEN

『銀河鉄道』では電車に乗る人を見送りにきた人が手を振っている様子から特定の誰かをイメージしていることがわかります。今度は「思う」の使われた歌詞を見てみます。

“終わりまであなたといたい それ以外確かな思いがない”

「ゼロ」/BUMP OF CHICKEN

『ゼロ』の歌詞ですが、《あなた》のことなのに「想い」ではなく「思い」が使われています。つまり具体的な誰かをイメージしているわけではないということです。

私はこの歌詞を魂の対話と解釈しましたが、そう考えると魂は自分の内側にあるので宿主の顔がわからないのでイメージできないと捉えることができます。

思いをひとりにしないように”

「GO」/BUMP OF CHICKEN

バンプの歌詞には「言葉にできない気持ち」というような表現がなんども登場します。言葉にできなければ具体的なイメージをすることができないので「思い」という漢字が使われています。

藤原さんの書く歌詞はほとんどが「自分と内なる自分」「言葉にできない気持ち」などの内省的なものなので特定の誰かをイメージする「想い」はほとんど使われることはありません。

『ベンチとコーヒー』や『ノーヒットノーラン』、『銀河鉄道』のように特定の誰かをイメージする「想い」がまた歌詞に使われることがあれば、特定の誰かをイメージしていることがわかりますね。

これからバンプの歌詞を見る時はぜひ「思い」と「想い」の違いにも注目して見てみて下さい。

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