BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「セントエルモの火」を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の基本情報や歌詞の意味の考察、制作背景などについてご紹介します。「セントエルモの火」を聴く際に参考にして下さい。
参考資料
- MUSICA 011.01
- B-PASS 2010.01、2011.02
- bridge 2011 WINTER
BUMP OF CHICKEN「セントエルモの火」の公式情報
セントエルモの火の楽曲情報
タイトル | セントエルモの火(アルバム収録曲) |
発売日 | 2010年12月15日 |
作詞作曲 | 藤原基央 |
完成時期 | 2008年11月頃(Fujiki第63回より推測) |
収録アルバム | COSMONAUT(6th Album) |
タイアップ | なし |
BUMP OF CHICKENの「セントエルモの火」はアルバム『COSMONAUT』に収録されている楽曲です。2008年の11~12月頃に作られた曲で、同時期に「HAPPY」「66号線」を作曲しています。
この曲のアルペジオはピックを使って弾いています。
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セントエルモの火のタイトルの意味
セントエルモの火とは?
出典:大航海時代 Online
セントエルモの火とは、船のマストや教会の塔など,とがった物体の先端でかすかに燃えるように見える青紫色の光。ことに山岳地帯でよく現れ、日中は光が見えない(コトバンクより)
セントエルモの火の制作背景
富士山へ先に登った升への想いを書いた曲
「セントエルモの火」は富士山登山に先に登った升秀夫を追いかけて、藤原も登山したエピソードを元に書いた曲だと言われています。
藤原はこの曲について「身近な友達を書いた曲」と話しており、歌詞カードの富士山や歌詞の内容からも十中八九、藤原が升を追いかけて登った富士山登山がモチーフになっていると思われます。
同時期に書かれた楽曲、「HAPPY」と「66号線」も藤原の身近な人へ向けて書いた曲です。
“66号線”も“HAPPY”も“セントエルモの火”も、共通してるのは、書いた時期と、あと全部、自分の身近な、すごい大事な友達を思って書いた3曲なんですよね
藤原基央
出典:bridge WINTER
ドラム録りに苦労した升
升はこの曲のドラムをどう叩いたらいいかわからず、相当悩んでいました。レコーディングにはかなり時間がかかり、顔色も悪くなるほどだったと話しているので、相当大変だったことがわかります。
升はこの曲の為に初心に帰って、今までのスタイルを辞める必要があったようです。そこまでしてでも演奏したい曲だったと話しています。
挫折というか、今までのスタイルをやめてみるっていう決断をした曲というか……そういう決断をしてでも、このドラムを叩きたいなぁというのがあったから
升秀夫
出典:MUSICA 2011.01
藤原と升の富士山登山エピソード
升は藤原を登山に誘うが、曖昧な返事をもらう
出典:電撃オンライン
2008年、BUMP OF CHICKENは7月5日にツアー「ホームシップ衛星」がファイナルを迎え、8月1日に「ロックインジャパンフェス」が終わると、ライブ活動がひと段落し、しばらく休暇に入りました。
そこで升はずっと行きたかった富士山の登山を友達(メンバーと共通の友達)と計画し、藤原も誘いましたが、榎本くるみ氏のレコーディングの予定があったので、行けるかどうかわからない状態でした。
藤原は升にサプライズを計画するが・・・
富士山までバス組と車組で分かれて、升はバスで向かうことにしました。藤原は登山当日も共通の友達に誘われましたが、2日間徹夜だったので悩みました。
結局、藤原は行くことにし、升よりも先に富士山に登って頂上で驚かそうと計画しました。
車がエンストしサプライズは失敗
車組は道中で車がエンストしてしまったため、バス組より2時間遅れてしまい、升たちは先に登山を開始し、藤原達は後から追いかける形になってしまいました。
計画通りにはいきませんでしたが、結果的にこの体験が「セントエルモの火」誕生に繋がったことになります。
予想通りの反応をする升
藤原は升よりも先に頂上で待つのは失敗したので、富士山で偶然ばったり会う設定にしました。友達は「秀ちゃん、藤くんが来たらすごく驚くんじゃない?」と考えましたが、藤原は升が言うセリフは絶対に「あ、来たんだ」だと思っていました。
そして富士山の頂上で升が藤原を見ると・・・

いろいろ確認するものがありましたね。完全に当てることができた自分と、“やっぱ来たんだ”くらいの軽い扱いをされる自分と(笑)
藤原基央
出典:B-PASS 2010.01
二人の絆の深さを感じるやり取りです。帰りは二人仲良く一緒に下山しました。
セントエルモの火のライブ情報
ライブでの演奏
2019年4月現在、「セントエルモの火」はライブでの演奏記録はありません。
BUMP OF CHICKEN「セントエルモの火」の歌詞の意味
セントエルモの火の歌詞の内容
先に行く君を追いかける僕
「セントエルモの火」は、山道と思われる坂道を登る君を、後から僕が追いかけていく様子が描かれています。
物語のキーになる部分は、僕が向かっているのは頂上ではなくて、君に向けて歩いているということです。つまり、君がいるから厳しい道でも前に進めるということを、藤原が升を追いかけて富士山を登った経験を元に書いています。
how far are you?
夢までの距離のように、数値化できない曖昧な距離を《how far are you/あなたはどれだけ離れているの?》という一節で表現しています。
セントエルモの火で伝えたいこと
暗闇だからこそ見えるモノ
「セントエルモの火」は尖った先端が、かすかに光る発光現象です。それゆえ、明るい日中では見ることができません。
楽曲における「セントエルモの火」は、暗闇でも前に進むための目印となる、かすかな光を表しています。つまり“暗闇だからこそ見えるモノ”を伝えようとしてると思われます。
そしてセントエルモの火は「尖った先端」が光ることを、楽曲中の「先を行く君」に掛けています。
君に向かって歩いている
この曲で伝えようとしていることは、向かうべき場所は山の頂上ではなく、《君》であることです。
これは藤原基央の音楽に対する考え方にも似ています。彼が曲を作る理由は音楽でてっぺんを取るためでも、お金の為でもなく、君に聴いてもらうために書いているのです。