BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「アンサー」を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の解説や歌詞の意味の考察、制作背景などについてご紹介します。「アンサー」を聴く際に参考にして下さい。
参考
- ROCKIN`ON JAPAN 2017年1月号、2018年8月号
- MUSICA 2017年1月号
- CUT 2017年1月号
BUMP OF CHICKEN「アンサー」の公式情報
BUMP OF CHICKEN「アンサー」の楽曲情報
タイトル | アンサー |
発売日 | 2016年12月21日(7th digital) |
作詞作曲 | 藤原基央 |
収録アルバム | aurora arc(9th Album) |
タイアップ | アニメ「3月のライオン」第1期OP |
BUMP OF CHICKENの「アンサー」は7作目の配信限定シングルです。ジャケットは藤原基央による手書きの文字が使用されています。アニメ「3月のライオン」第1期オープニング曲に書き下ろし。
ツアー“BFLY”日産スタジアム公演のMCで藤原が「まだタイトルが言えない新曲がある」と話していたのが「アンサー」です。
前のシングル | 現在 | 次のシングル |
アリア | アンサー | リボン |
BUMP OF CHICKEN「aurora arc」のアルバム楽曲情報と制作背景へ
「アンサー」のライブでの演奏
初披露日時 | 2017年9月16日 |
初披露ライブ |
「アンサー」の制作背景
2度目のBUMP OF CHICKEN×3月のライオン
スタッフが藤原にアニメ「3月のライオン」のオープニング曲のオファーが来てることを告げると、元々大ファンだった藤原は「それはやるでしょう!」と快諾し、制作がスタートしました。
3月のライオンは二度目のタイアップで、原作者の羽海野チカ先生もバンプの大ファンです。前回は漫画に「ファイター」を書き下ろしていたので、同じ作品の曲を書けるか藤原は心配があったようですが、スタジオに入るとAメロから順序良く書いていき、自然に完成させることができました。
共通点を探す手法
藤原がタイアップ曲を書く時は“自分達の表現するフィールドとタイアップ作品の表現するフィールドが重なっている部分を描く”というルールの元に制作されますが、3月のライオンに関しては藤原を含めメンバー全員がファンだったこともあり、重なり合う部分が大きかったようです。
その為、「ファイター」と「アンサー」は似たような表現がされていると話しています。
“歌詞とかはほんと、改めて聴くと、“ファイター”と同じふるさと、みたいな感じはすげえしますよ。重なった同じ面積のところから、そこが生まれ故郷の言葉たちですから”
藤原基央
出典: ROCKIN`ON JAPAN 2017.01
「アンサー」というタイトル
「アンサー」というタイトルは歌詞を書いてる段階からイメージがあり、なんとなく英語表記で「Answer」にしようとしましたが、藤原に取って記念的な意味合いにしたく前回コラボした「ファイター」と合わせてカタカナ表記にしました。
タイアップ/アニメ「3月のライオン」
アニメ「3月のライオン」 | |
原作 | 羽海野チカ |
監督 | 新房 昭之 |
MV・アニメーション制作 | シャフト |
制作 | 「3月のライオン」アニメ製作委員会 |
主題歌 | 第1期OP「アンサー」/BUMP OF CHICKEN 第1期ED「ファイター」/BUMP OF CHICKEN |
「ファイター」は漫画「3月のライオン」10巻の特装版にCDが付属するという形でコラボし、「アンサー」はアニメ「3月のライオン」の主題歌に使用されました。
アニメ制作会社は「シャフト」で、制作を手掛けた代表作品に「化物語」や「魔法少女まどか☆マギカ」(略称:まどマギ)などがあります。
まどマギは藤原基央も羽海野チカ先生も好きな作品で、ベースのチャマ(直井由文)は藤原から勧められ、まどマギにハマり、そこからシャフト作品にハマっています。
またシャフトは「アンサー」で初のMV監修もしております。
エンディング曲になった「ファイター」
BUMP OF CHICKEN×羽海野チカの第一作目となった「ファイター」は、既発曲でしたが、羽海野チカ先生が「これほど3月のライオンにぴったりな曲はない」という理由で、アニメ化の話が来た時に「ファイターを主題歌にしたい」と原作者が直々に製作委員会に頼みこみました。
BUMP OF CHICKEN「アンサー」の歌詞の意味
スピッツへのオマージュ?
魔法の言葉
「アンサー」の歌い出しは《魔法の言葉 覚えてる》というフレーズから始まります。
羽海野チカ先生の代表作に「ハチミツとクローバー」があり、その実写映画の主題歌はスピッツの「魔法のコトバ」でした。
偶然にも重なっていますが、これに対し藤原は笑いながら言葉を濁していました。個人的には敢えてオマージュとしてやったのだと考えています。
ちなみに藤原基央とスピッツの草野マサムネ氏は「ROCK IN JAPAN FES 2008」で初対面をし、雑誌「ロッキングオンジャパン増刊号」の表紙を飾っています。
「アンサー」と「新世界」との共通点
「アンサー」の《あの時世界の全てに 一瞬で色が付いた》は「新世界」でいう所の《君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ》とほぼ同じ意味だと思われます。
どちらも、無くしたくない大切なものとの出会いが世界を輝かせることを歌っています。
見えないけど確かにあるもの
雲の向こうの銀河のように どっかで無くした切符のように
生まれる前の歴史のように 君が持っているから「アンサー」/BUMP OF CHICKEN
1番のサビのフレーズは、バンプがずっと歌い続けているテーマでもある“見えないけど確かに存在するもの”を表しています。同時にそれが生きる理由であることを歌っています。
雲の向こうの銀河
たとえ空が雲で隠れていても、その先には銀河が確かにあること。同時に私たちは銀河の中にいるので、遠回しに“自分の中に答えがある”ことを表していると思われます。
無くした切符
無くしたということは、それまで確かに持っていたということ。さらに「切符」なので、“どこか行きたい場所があった”ことがわかる言葉ですね。
生まれる前の歴史
生まれる前の歴史は、実際に体験したわけじゃないけど確かに存在していて、その歴史を繋いだ結果、自分が生まれてきた。親がいなければ、自分が生まれることはありません。
その親にもさらに親がいたから存在しているわけで、誰か1人でも死んだりしたら自分が生まれることはありません。そんな奇跡のような歴史を繋いだ結果、自分という存在は誕生したのです。それくらい自分の存在は奇跡的で尊いものであると言っているような気もします。
複雑な感情を表す涙
迷路の奥のダイヤのような 届かなかった風船のような
気付けなかった流星のような 涙を貰った「アンサー」/BUMP OF CHICKEN
迷路の奥のダイヤ
これは、複雑な構造を持った迷路にたとえて、涙が流れるに至った複雑な気持ちを言語化するのが難しいことを表していると思います。同時にその涙がダイヤのように輝かしく価値のあるものを意味していると思います。
届かなかった風船
飛んでいく風船に手が届かなかったように、掴めそうで掴めなかったものを表していると思います。
気付けなかった流星
見たいけど見れなかったものを表していて、気づけなかった自分の本音が涙となって出てきた。
まとめ
どのような涙なのかをまとめると、掴めそうで掴めなかった、言語化できない複雑な自分の本音を表したような涙。
正しい道を照らす本当の声
本当の声はいつだって 正しい道を照らしている
なんだって疑っているから とても強く信じている「アンサー」/BUMP OF CHICKEN
疑うという行為は、信じたいという気持ちの裏返しです。
例えば「これを毎日飲むだけでラクにダイエットできるサプリメント」なんていう一見怪しそうな商品を疑ってしまうも、“効果があると信じたい”という気持ちの裏返しなのです。そもそも興味がなかったら、信じようとも疑おうともしませんからね。
正しい道とは?
「sailing day」という楽曲で《正解不正解の判断 自分だけに許された権利》という歌詞があるように、《正しい道》とは自分が選んだ道だということがわかります。
要は「心の声に従え」ってことなんでしょうけど、間違ってほしくないことは、正しい道を進んだからと言って成功や金銭、命の保証があるわけではないことです。ここでいう正しさとは、自分に取ってどういう選択が幸せなのかということです。
上手く行くかは自分次第です。だから“転ばないように”気を付けないといけません。
貰った名も知らない花
砂漠の粒のひとつだろうと 消えていく雨のひとつだろうと
貰った 名も知らない花のように 今目の前にあるから「アンサー」/BUMP OF CHICKEN
周りに埋もれてしまうようなどんなに些細なものでも、たとえ雨のひとつのように誰にも気づかれずに消えていく運命だとしても、貰った花のように自分には価値のあるもの。
ポイントは“名も知らない花”だということで、大切な人から名前の知らない花を貰ったら、その名前を知りたくなるし、その花をくれた理由を知りたくなると思います。
人はわからないから知りたくなる。
人は知りたいから行動する。
人は答えがないから生きていける。
人は明日や未来が見えてしまったら、夢も希望も持つことはなくなるでしょう。
70億分の1の感情
なんでこんなものを好きになってしまったのだろう?
なんでこんな夢を持ってしまったのだろう?
周りの人と違う好みや夢を持っていることに、不安を覚えたり、時には自己嫌悪に陥ったりする人もいると思います。
でも多くの人は「それが大切だということはわかっている」と思います
例えば、好きな人がいても「振れられるのが怖くて告白できない」っていう経験をした人は多いと思いますが、本当に怖いのは、結果を知ってその気持ちが消えてしまうことだと思うんですよね。そのことが自分の中にある特殊な気持ちが、いかに大切で尊いものであるかを物語っています。
この感情こそがその人の世界の全てなんだと思います。
“アンサー”とかでも歌っていますけど、世界は、その人が感じているものが材料となって作られていると思ってるんですよ
藤原基央
出典:ロッキングオンジャパン 2019年8月号
本当は答えに気付いている
誤解を恐れずに言わせてもらうと、たとえ世界が滅びようと自分には関係ないって思っている人は多いはずです。
これって良い意味ですごいことだと思いませんか?70億人よりも、たったひとりのほんの些細な気持ちの方が価値があるってことですからね。
これって、自分の気持ちがどれほど大切で価値のあるものなのかってことに、本当は気付いているなによりの証明じゃないでしょうか?
「アンサー」で伝えたいことは「本当はもう答え出てるんでしょ?答えは応えてくれるのを待ってるよ」ってことなんだと思います。
それだけ わかっている 僕だけ わかっている
だからもう 離れない 二度ともう 迷わない「アンサー」/BUMP OF CHICKEN