アルバム「COSMONAUT」の意味と公式情報‐BUMP OF CHICKEN‐

BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)のアルバム『COSMONAUT』(コスモノート)を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事ではアルバムの解説や収録曲、タイトルの意味の考察、制作背景などについてご紹介します。『COSMONAUT』の楽曲を聴く際に参考にして下さい。


参考資料

  • ROCKIN`ON JAPAN 2011.01、02
  • MUSICA 2010.12、2011.01
  • bridge 2011 WINTER
  • B-PASS 2010.01、2011.02
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BUMP OF CHICKENのアルバム『COSMONAUT』について

アルバム『COSMONAUT』の基本情報

タイトルCOSMONAUT(6th Album)
発売日2010年12月15日
制作期間2008年秋~2009年秋
収録曲数14曲(シークレット除く)
アルバムツアーGOOD GLIDER TOUR
GOLD GLIDRR TOUR

 

BUMP OF CHICKENの「COSMONAUT」(コスモノート)は通算6枚目(メジャー4枚目)のアルバムです。アルバムのレコーディングは2010年の夏に一気に行われました。

前のアルバム現在次のアルバム
バンプオブチキンのアルバムオービタルピリオドのジャケット
orbital period

COSMONAUT

RAY

アルバム『COSMONAUT』収録曲の解説

トラックタイトル概要
1バンプオブチキンの三ツ星カルテットの画像
三ツ星カルテット
三ツ星とは藤原から見たメンバー3人のことを意味しており、自分もその星の中に入りたいという想いを込めたタイトル。

アルバムの中で一番最後に完成し、4分の6拍子と4分の5拍子を絡めた曲。

2バンプオブチキンのRIPのジャケット
R.I.P.
【15th Single】

藤原基央の子供の頃の体験をもとにした過去基軸型の歌詞で、共有していない記憶があることの切なさを描いた楽曲。

R.I.Pとは日本語で「安らかに眠る」を意味し、『FLAME VEIN』や『ユグドラシル』の歌詞カードにもこの文字が描かれている。

3バンプオブチキンのウェザーリポートの画像
ウェザーリポート
天気をモチーフにした曲で、藤原の子供の頃の体験をもとにした過去基軸型の歌詞。

デモ作成は珍しいことに、藤原と升の共同作業で行われた。

4バンプオブチキンの分別奮闘記の画像
分別奮闘記
プロデューサーから「シングル曲書いて」と言われて書いた曲。シングル曲の基準がわからなかった藤原がとりあえず書いた曲で、結局シングル曲にはならなかった。

藤原の住んでいる地域のゴミの分別が細かくなったことがきっかけでゴミの分別にハマり、それを歌詞したもの。

5バンプオブチキンのモーターサイクルの画像
モーターサイクル
藤原基央が30代に入り最初に書いた曲であり、自宅で作曲した最後の曲。

この曲を書いていた当時は無自覚だが、歌詞の《胸が痛かった》は後に藤原が患う肺気胸の前兆だったことが判明した。

6バンプオブチキンの透明飛行船の画像
透明飛行船
自宅で作曲した最後の曲。スランプに陥った藤原はプロデューサーにスタジオで作曲するように誘われるが、その優しさに甘えまいと意地でこの曲を書き上げた。

歌詞に登場する「宮田公園」や「お社」は千葉県佐倉市に実在する「宮田弁財天」である。

7

魔法の料理~君から君へ~
【17th Single】

藤原基央が30歳の誕生日直前に書いた曲。

大人になった藤原が、過去の自分に語り掛けるスタイルの歌詞。藤原の幼少期の体験が元になっており、NHK「みんなのうた」2010年4-5月度使用曲に起用された。

8
HAPPY
【16th Single】

藤原の友人の男女の身にとても辛い出来事があり、居ても立っても居られず書いた曲。

明るい曲調とは裏腹に歌詞の内容は辛辣なものになっている。

9バンプオブチキンの66号線の画像
66号線
BUMP OF CHICKENのプロデューサーであるMORに贈ったと言われている楽曲。

「66」という数字は、プロデューサーに縁のある数字。

10バンプオブチキンのセントエルモの火の画像
セントエルモの火
富士山に先に登った升秀夫を追いかけて、藤原も登山したエピソードを元に書いた曲。
11バンプオブチキンのエンジェルフォールの画像
angel fall
プロデューサーに「ゴスペル書いて」と言われて書いた曲。

タイトルはギアナ高地にある世界最大級の滝「エンジェルフォール」から取ったもの。

12バンプオブチキンの宇宙飛行士への手紙のジャケット
宇宙飛行士への手紙
【18th Single】

プロデューサーに「4つ打ちの曲書いて」と言われて書いた曲。

幼稚園の頃に藤原が姉と買い物に行く途中に見た稲妻がモチーフになっている。

13バンプオブチキンのイノセントの画像
イノセント
藤原基央の音楽に対する想いを綴った曲。藤原は「このテーマをもっと早く歌うべきだったが、歌う度胸や技量が足りなかった」と話していた。
14バンプオブチキンのビューティフルグライダーの画像
beautiful glider
アルバムの中で最後から2番目に出来た曲。アルバムの1曲目の候補だったが、「三ツ星カルテット」が完成したことで、アルバムの最後に収録されることになった。
隠しOFCOURSE



アルバム『COSMONAUT』の特徴

COSMONAUTの意味

アルバムのタイトルは「宇宙飛行士への手紙」の予定でしたが、それはシングル曲として使用したので、その名残で宇宙飛行士を意味する「COSMONAUT」というタイトルになりました。

「COSMONAUT」は比喩としての宇宙飛行士であり、宇宙の中に太陽系があり、その中に地球があり、その地球の中に私たち人間がいるといった、多くの概念を包み込んだタイトルになっています。

COSMONAUT、宇宙飛行士って、この場合はそれ自体がひとつの比喩だし概念だと思うんですけど

藤原基央
出典:MUSICA 2010.12

アルバムの特徴やテーマ

アルバムの全ての曲に共通するテーマではありませんが、藤原基央の子供の頃の体験を元に書いた“過去基軸型の歌詞”が多く収録されています。

これは藤原基央が30歳という節目を迎えるに当たり、過去を振り返ることが多くなり、今という時間のかけがえなさをより感じるようになったことが影響しています。

歌詞の推敲を辞めた

COSMONAUT期の最大の特徴と言えるのが、藤原が作詞において推敲(すいこう)を辞めたことです。

推敲とは、完成したあとに歌詞を見直して、よりわかりやすくする作業のことです。今までの藤原は完成後に歌詞を推敲して、分かりやすいようにガイド的なものを入れていました。

推敲を辞めたことで、抽象的な表現が多くなり、リスナーの歌詞に対する解釈の自由度が上がった作品になっています。

完全にリスナーのアンテナというか……十人十色の感じ方でね。俺は……音楽を聴こうと思う人の力ってすごいと思いますから

藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2011.01



アルバム『COSMONAUT』の制作背景

作曲拠点を自宅からスタジオへ

出典:CHAMA_Twitter

2009年の6月下旬、プロデューサーはスランプに陥って何も曲を書けずにいた藤原に「曲書けなくてもいいからスタジオ入ろうよ」と誘ったことがきっかけで、藤原の作曲の拠点が自宅からスタジオへ移りました。

制作スピードが格段に早くなった

スタジオで作曲することになり、藤原の作曲速度が格段と早くなりました。orbital period期まではストック曲がほとんどない状態でしたが、COSMONAUT期はアルバムに収まりきらないほど豊作になりました。

制作が早くなった要因は、スタジオのエンジニアブースにはプロデューサーがいて、作曲中にすぐに意見を求められることが大きかったようです。また先ほど説明したように推敲をしなくなったり、スタジオの制限時間があることで自然と作業が早くなったようです。

COSMONAUT期からRAY期へ

『COSMONAUT』では、非常に過去が色濃くでており、藤原の少年時代の体験が元になっている作品が多くありました。

アルバムの後半に完成した「宇宙飛行士への手紙」では、“過去から届く、今を照らす光”を歌っており、「beautiful glider」では、“過去がくれる勇気”を歌っています。

アルバム『RAY』に収録される楽曲の多くも、“過去から届く、今を照らす光”や“過去がくれる勇気”がテーマになっており、COSMONAUT期の後半から徐々にテーマが移り変わってきているのがわかります。



BUMP OF CHICKENアルバム『COSMONAUT』制作年表

2008年
8月ROCK IN JAPAN FESTIBAL2008に出演

夏のイベントが早く終わったので、升は富士山を登る。藤原は後からついて行く。この体験が後に「セントエルモの火」誕生に繋がる。

藤原基央とMORが榎本くるみのレコーディング作業
11月~12月「HAPPY」、「66号線」、「セントエルモの火」が完成

2009年

1月~4月藤原基央のスランプ
4月10日藤原基央、30歳の誕生日目前に「魔法の料理~君から君へ~」を完成
4月中旬魔法の料理から1週間経たずして、「モーターサイクル」が完成
~6月藤原基央スランプ
6月下旬スランプの藤原を心配してプロデューサーがスタジオに誘う。

藤原はプロデューサーの優しさに甘えまいと、意地で「透明飛行船」を書く。この曲が自宅で書いた最後の曲になる。

7月「宇宙飛行士への手紙」完成。

藤原基央、プライベートで初の海外旅行へ行く。

8月8月7日に「(please)forgive」完成。

藤原、直井、増川の3人で池袋のエヴァンゲリオンストアに遊びに行く。藤原は今という時間のかけがえのなさに気付く。

「R.I.P.」完成。「angel fall」「ウェザーリポート」「分別奮闘記」もこの時期だと思われる。

「イノセント」、「beautiful glider」を書く。
10月頃レコーディング中のメンバー同士の話し合いがきっかけで「三ツ星カルテット」が生まれる
11月25日15th Single「R.I.P./MerryChristmas」発売。
2010年
4月10日六本木ヒルズアリーナでシークレットライブが行われる。
4月14日16th Single「HAPPY」発売
4月21日17th Single「魔法の料理~君から君へ~」発売
アルバムに向けてレコーディング作業
10月13日18th Single「宇宙飛行士への手紙/モーターサイクル」がアルバムに先行して発売。
12月15日6th Album『COSMONAUT』発売

 

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