BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「アリア」を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の解説や歌詞の意味の考察、制作背景、MV情報などについてご紹介します。「アリア」を聴く際に参考にして下さい。
参考
- ROCKIN`ON JAPAN 2017年1月号
- MUSICA 2017年1月号
- BARKS BUMP OF CHICKEN、「アリア」MVは“光の彫刻”内で撮影
BUMP OF CHICKEN「アリア」の公式情報
BUMP OF CHICKEN「アリア」の基本情報
タイトル | アリア(6th Digital) |
発売日 | 2016年8月17日 |
作詞作曲 | 藤原基央 |
完成時期 | 2016年6月頃 |
収録アルバム | aurora arc(9th Album) |
タイアップ | TBS系ドラマ「仰げば尊し」主題歌 |
BUMP OF CHICKENの「アリア」は6作目の配信限定シングルです。ツアー「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY”」の日産スタジアム公演(2016/7/16・7/17)で初披露されました。ジャケットはBFLYの日産スタジアムの写真を使用。
TBS系ドラマ「仰げば尊し」の主題歌として書き下ろし。
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Hello,world!/コロニー(24th single) | アリア(6th digital) | アンサー(7th digital) |
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「アリア」の制作背景
「アリア」はTBS系ドラマ「仰げば尊し」の主題歌として依頼を制作されました。藤原基央の昔から一貫したタイアップ曲の制作方法として、“自分達の表現したいフィールドとタイアップ作品の描くフィールドが重なる部分を描く”というやり方をしています。
しかしドラマ「仰げば尊し」の場合は、1話分の脚本しか情報がなかった為に、相手の作品の描くフィールドがわからないところもあったと話しています。
曲の完成が2016年のツアー“BFLY”の福岡公演(2016年5月22日)の後で、日産公演を間近に控えていたのでスケジュール的に時間がなく、「アリア」(デモ)をメンバーに初めて聴かせてから3日間でアレンジを決め、レコーディングしました。
BPM220
「アリア」のBPMは220でバンプの楽曲の中でも最速の部類です。藤原が一人で制作している段階からドラムの升がちゃんと叩けるか心配で確認の為にLINEを送っています。
すると升からBPM220で刻んでる自撮り動画が送られてきました(笑)
升が動画を送った理由は、簡単に「できる」「できない」と言ってはいけないと思い、藤原に動画で判断してほしかったからだそうです。
“「秀ちゃん、BPM220で、ハット8分で刻めるの?」って、LINEで訊いたら、220で刻んでいる動画が送られてきて(笑)”
藤原基央
出典:MUSICA 2017.01
ドラマ「仰げば尊し」主題歌に起用
「アリア」はドラマ「仰げば尊し」の主題歌に書き下ろしたことは先ほど説明しましたが、ドラマ公開前のティーザー映像ではバンプオブチキンの「66号線」、「メーデー」が使用されていました。
またドラマ内で「へなちょこ5人組」というバンプへのオマージュと思われるセリフも使われています。(BUMP OF CHICKENのテーマという曲に「へなちょこの4人組」という歌詞がある)
メンバー4人ともドラマを視聴者としてドラマを楽しんで観ていたようです。
アリアのMV情報・ロケ地
アリアのMV情報 | |
監督 | |
撮影場所 | お台場みんなの夢大陸2016(東京) DMM.プラネッツ Art by teamLab |
出演 | BUMP OF CHICKEN |
「アリア」のMVは2016年に東京お台場で開催されたフジテレビのイベント「お台場みんなの夢大陸2016」展覧会の中の〈DMM.プラネッツ Art by teamLab〉にて撮影されました。
MV撮影が行われた空間は、無数のLEDライトで宇宙空間を表現したデジタルアート作品です。
アリアのMVが撮影された展覧会は終了してますが、team lab.の作品は東京・豊洲の「チームラボ プラネッツ TOKYO」で見ることができます。
DMM.com、チームラボの超巨大なデジタルアート空間 teamLab Planets TOKYO(チームラボプラネッツ…
BUMP OF CHICKEN「アリア」の歌詞の意味
アリアの意味は?
・独唱曲・・・一人のため息から始まった物語
・詠唱・・・呪文を唱えるという意味から、バンプの歌詞に頻出する“魔法”を想起する
「アリア」の歌詞のキーワードは“ため息”
ため息が出る理由
ため息を吐くのにはいろんな理由があると思いますが、一言でまとめるなら自分の思い描くものと違う結果になった時にため息が出ます。
ネガティブな気持ちから生まれるため息は、例えば「誰かに何か頼んだけど、思ったことと違う行動をされた」とか、「夢を叶えたいけど、まだ何も行動していない現状」だったり、そういう時にこぼれてしまうものです。
好きな人を想って零れるため息も、感動して出る感嘆のため息も原理は同じです。
言葉にできない葛藤から零れた“ため息”
この曲の主人公は、何か伝えたいことがあるけどそれを上手く言葉にすることができない。気持ちを言葉にできない葛藤から零れたのが《ため息》だったのでしょう。
ため息程度の気持ちでは、日常の景色を変える程の力はない。だからそのため息が生まれ育った自分の心と向き合わなければならない。
歌詞に登場する鏡はなにを意味するのか?
Photo by Suhyeon Choi on Unsplash
笑うから鏡のように 涙がこぼれたよ
一度でも 心の奥が 繋がった気がしたよ「アリア」/BUMP OF CHICKEN
一見矛盾しているような歌詞ですが、これはあなたが笑ってくれたから、私は嬉しくてあなたとは反対(鏡のように)に涙が出てきたという意味だと思います。
涙は心に近い感情から生まれてくるものだと思います、だから心の奥が繋がった気がした。“繋がった気がした”のは、《見つめ返せなかった》と言ってることからわかるように、ちゃんと向き合っていないからです。
自分と向き合うこと
バンプの歌詞における《鏡》とは、自分と向き合うことを意味する場合が多いです。鏡を見ることは必然的に自分と向き合う形になりますからね。この曲の主人公は自分と向き合っていないのですが、“鏡”というキーワードを使うことで、自分と向き合ってほしいというメッセージが隠れているのかもしれませんね。
向き合おうとしない主人公
曲を通して主人公は君と目を合わせずに視線を逸らしているのがわかります。これはその気持ちと向き合ってしまったら、魔法が解けてしまいそうな気がするからです。
曲がって落ちた紙飛行機 見つめ返せなかった まっすぐな瞳
「アリア」/BUMP OF CHICKEN
本当は真っすぐ飛ばしたいはずの紙飛行機が曲がって落ちたという情景描写を書くことで、本当はまっすぐ君を見つめ返したいけどそれができないという、紙飛行機のようにコントロールが難しい心の中の複雑な気持ちを表していますね。こういう言い回しは藤原基央の十八番ですね。
BUMP OF CHICKENの「アリア」の意味とは?
君と僕だけの世界=魔法の中
「アリア」では、自分の中に芽生えた不思議な気持ちに、敢えて名前を付けないまま、その気持ちを抱え続ける様子が描かれています。
もしその気持ちに言葉を当てはめたら・・・例えば“夢”という言葉を当てはめてしまえば、その気持ちは夢という目的を持ってしまいます。“恋”という言葉を当てはめれば、その気持ちは誰かに対する恋心という目的を持ちます。
しかしその気持ちに名前を当てはめずにいれば、何をしたらいいかわからなくなる代わりに、不思議な魔法のような感覚に浸り続けることができます。
なんかドキドキする、なんかワクワクする。稚拙な表現ですが、こういう感覚に浸っている時は不思議と幸せな気分になります。
ため息と共に終わる魔法
ずっと魔法の中にいることはできません。なぜなら名前を持たないということは、何をしたらいいかわからないということだからです。何かをしたいけど、それがわからないという状況は非常にもどかしく、人を不安にさせます。
最終的に、どれも自分の思い描くもの違うということがわかり、その気持ちは“ため息”になって外へ出ていってしまいます。
あんなに自分の中ですごい情熱的なパワーを持っていた気持ちなのに、そのため息は街の表情一つ変えることさえありません。
自分の中でどれだけすごいエネルギーだったとしても、それを言葉や形にしない限り現実世界に影響を与えることはないのです。
あの日の些細なため息は ざわめきに飲まれ 迷子になったよ
ありふれた類だったから どこに転がったって その景色の日常「アリア」/BUMP OF CHICKEN
あの時の気持ちをずっと忘れたくない
君と二人だけの魔法の世界にいる時の気持ちを忘れたくない・・・しかし、ため息になって消えてしまったあの時の気持ちを思い出すことはできない。これは「話がしたいよ」にも通ずるテーマですが、ここに無いものを欲するやり場のない気持ちが切なさを際立たせます。
曲調は星の瞬きのようなキラキラした明るいサウンドですが、歌詞はそれとは対照的に切実な想いを歌っています。
アリアとは空気であり独唱曲であり、魔法である
以上のことから、「アリア」とはため息という“空気”であり、ある一人の気持ちを歌った“独唱曲”であり、“魔法”のような不思議な気持ちを歌った曲なのです。
「Aurora」へと続く物語
「アリア」では、名前を持たない気持ちを失って、それがどれほど自分に取って輝かしく大切なものだったのかを歌っていて、その気持ちを《忘れたくなかった》という歌詞で締め括っています。
そしてこの君を失ったという結末の続きともいえるのが、「Aurora」です。《もうきっと多分大丈夫 どこが痛いか分かったからね》という、喪失から再び立ち上がるところから歌詞が始まります。
「Aurora」では「アリア」では描かれなかった、“名前のない気持ち”を抱えるのではなく、世界に描き出すべきだということを歌っています。
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「アリア」というタイトルに込めた仕掛け
本質は絶対変わることがない
BUMP OF CHICKENの「アリア」という楽曲は喪失したまま物語を締め括っており、一見すると“絶望”で終わっているような印象を覚えます。
ちょっと話が変わりますが「Butterfly」の歌詞で、“魂はどれだけ憎んでも消えないし消せないもの”という描写がありますが、まさにその通りで人間の本質の部分はどうやっても消えないし変わらないのです。
自分が自分である理由、自分にしかないもの、自分だけの魂、それらの本質は鏡に映しても反対に映ることはありません。
タイトルがカタカナ表記で「アリア」となっていますが、これは反対に読んでも同じく「アリア」となることから、どんなことがあってもその人の本質は変わらないという意味を込めた仕掛けだと思います。
BUMP OF CHICKEN「アリア」のライブ情報
「アリア」のライブでの演奏記録
初披露日時 | 2016年7月16日 |
初披露ライブ | BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY”@日産スタジアム(神奈川県) |
演奏されたライブ/ツアー |
「アリア」はツアー“BFLY”の日産スタジアム公演で新曲として初披露されました。
完成間もない曲は演奏のクオリティの関係上あまり披露することはありませんが、アリアが演奏されたのはプロデューサーからの要望があったからです。
ツアーaurora arkでの美し過ぎる演出
アリアは2019年のツアーaurora arkでも演奏され、ステージのスクリーンには教会のステンドグラスの美麗な映像が映し出されステージを彩りました。
あまりにも美しくてため息がこぼれました。
歌詞にもあるように観客全員のため息で会場を埋めたかったのかな?
ステンドグラスの画像はBUMP OF CHICKENの公式サイトでチェックしてみて下さい!
「アリア」のライブ映像が収録されている作品
収録作品 | 備考 |
BFLY | 本編7曲目に収録。 |
PATHFINDER | 特典映像に収録。 |