BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「arrows」(アローズ)を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲情報や歌詞の意味の考察、制作背景などについてご紹介します。「arrows」を聴く際に参考にして下さい。
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BUMP OF CHICKEN「arrows」の公式情報
BUMP OF CHICKEN「arrows」の基本情報
タイトル | arrows(アルバム収録曲) |
発売日 | 2007年12月19日 |
作詞作曲 | 藤原基央 |
完成時期 | 不明 |
収録アルバム | orbital period(5th Album) |
タイアップ | なし |
BUMP OF CHICKENの『arrows』(アローズ)はバンプのアルバム『orbital period』に収録されている楽曲です。
arrowsは【矢】(複数形)を意味しますが、歌詞中に【矢】が一度も登場せずに【弓】が出てきます。
arrowsの制作背景
藤原が一人で行ったプリプロ
藤原は最初に「arrows」をアコギ一本で弾き語れる状態に完成させましたが、その時に聴いてくれるメンバーが揃っていない時でした。そこで時間を持て余した藤原は一人でオルガンを弾いたり、エレキギターでアルペジオを弾いたり、ベースの部分を低音鍵盤だけで弾いたりいろいろ試してみました。
そうやっていくうちに曲が讃美歌のような響きになっていき、そのイメージに合わせてプリプロを一人で行いました。
サウンドイメージの違い
藤原が作った曲をメンバーに聴かせましたが、まだドラムもベースも入ってなかったので、升と直井はバンドでの演奏がイメージできなかったそうです。
藤原は二人に「ジャズを聴くように」と指示しましたが、プロデューサーからはジャズとは全く違うものを聴くように指示されました。
その二人の矛盾した意見を直井なりに考えて、藤原からダメ出しされながらもアレンジを模索しました。
そう簡単に、すぐ答えが見つかってしまうことのほうが音楽は珍しいじゃんってこと。もっと時間かけることを忘れちゃいかんでしょ?
藤原基央
出典:MUSICA 2008.01
「カルマ」と「涙のふるさと」との繋がり
明確な意味を持った曲順
「arrows」は「カルマ」や「涙のふるさと」とは全く違う時期に書かれた曲ですが、アルバムに収録するに当たって曲順にはとてもこだわっていて、「涙のふるさと」の前に「arrows」がくると思っていたそうです。
さらに「カルマ」の次に「arrows」が来ることで二つの曲を対にできるんじゃないかと思ったそうです。
対にできるんじゃないかと、「カルマ」と
藤原基央
出典:ROCKIN`IN ON JAPAN 2008.02
対になった「カルマ」と「arrows」のテーマ
11th Single「カルマ」
「カルマ」のテーマは「生まれた意味を知る物語」であり、それに対し「arrows」は「涙が生まれるまでの物語」になっています。
つまり「カルマ」は内向的で、「arrows」と外向的な内容になっています。
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同じ涙がテーマの「涙のふるさと」
12th Single「涙のふるさと」
「涙のふるさと」は「arrows」と同じく涙がテーマになっています。
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2つの違いは「arrows」は涙が生まれるまでの物語で、「涙のふるさと」は涙が流れてきた理由を知る物語です。このように「カルマ」、「arrows」、「涙のふるさと」は関連性のあるテーマになっていて曲順もこだわっています。
「涙のふるさと」は絶対最後になる。「arrows」も、それより1個前か。だから「涙のふるさと」か「arrows」がどっちかっていうせめぎ合いはありましたね
藤原基央
出典:bridge 2008 WINTER
BUMP OF CHICKEN「arrows」の歌詞の意味
arrowsの歌詞の内容
歌詞の簡単な解説
物語の内容は「涙が生まれるまでの物語」であり、“二人の迷子の出会いと別れ”を通して、自分の心の中に芽生えた気持ちが涙になって零れ落ちるまでを描いた物語になっています。
解説1:行きたい場所は全部廻った
迷子なのに行きたい場所に行ける理由は?
重要なのは自分が本当に行きたい場所ではなく、迷子の行きたい場所であること。
迷子の行きたい場所とは、本当にやりたいことを先延ばしにして、迷っている言い訳ができる場所。《行きたい場所は全部廻った》とは、もう悩んでる言い訳がこれ以上見つからないくらい言い訳をしてきたということ。
「今日は疲れたから明日にしよう」「忙しいからまた今度」「風邪引いてるしな・・・」、こういった言い訳を全部出し尽くしてしまったのです。
迷子の正体とは
迷子とは夢に踏み出せないで迷っている自分の気持ちそのものだったのです。
もう一人の迷子は、自分の気持ちを映し出したものだった。〈似てて当たり前〉〈どこから来たのと尋ね合いすぐに馬鹿馬鹿しくなる〉こうなるもの当然です、どっちも自分なのだから。
《今こそちゃんと言ってあげなくちゃ さよなら言えない自分に言わなくちゃ》こう言ってるように、主人公は前からお別れしなきゃいけないことに気づいていたことがわかります。
それは迷っている気持ちといつかは決別して、前に進まなきゃいけないことに気づいていたからです。
arrowsで伝えたいこと
「気持ち」は形のある生き物
“出会った人は生き物だよ 生きてた君は笑ってたよ
迷ってた僕と歩いたよ 偽物じゃない荷物だよ”「arrows」/BUMP OF CHICKEN
心の中にある【気持ち】は実態が無いとはいえ、お別れをしたらいなくなってしまいます。では気持ちは命のない偽物だったのでしょうか?
自分の心の中に芽生える気持ちは、生まれてはいつか消えていく終わりのあるものです。「arrows」では、その気持ちが偽物ではない生き物であり、涙という形になって会いに来たということを伝えています。
気持ちが涙に変わる時
迷子が「前に進もう!」と決心した瞬間に、心の中の【迷ってる気持ち】は消えてしまいます。
【迷っていた気持ち】は最後に《あんなに近いずっと遠いあの雲》に登って涙の雨となって「君に見えるように会いにいく」決心をしたのです。大事なのは自分の内側にあった見えない感情が形になったということです。
このことから「涙のふるさと」と繋がる世界観だということがわかります。
会いに来たよ 会いに来たよ 君に会いに来たんだよ
君の心の内側から 外側の世界まで 僕を知って欲しくて来たんだよ「涙のふるさと」/BUMP OF CHICKEN
解説2:あんなに近いずっと遠いあの雲とは?
涙は涙腺を通して目から流れています。涙腺は雲に似た形をしており《あんなに近いずっと遠いあの雲》とは涙腺のことを指していると思われます。
自分の内側なので距離は近いですが、感情が涙に変わるまでには精神的な距離があったことを意味していると思われます。
arrowsのタイトルの意味
涙で作った弓と矢
涙は左目と右目からそれぞれ零れ、頬をつたってアゴの所で涙と涙が出会い【涙の弓】になるのです。そしてアゴから落ちた雫が【涙の矢】になったのです。
涙と涙が出会って【弓】を作り、同時にその弓から零れる涙が【矢】になるのです。これでタイトルが「arrows」と複数形なのがわかったと思います。
おまけに本物の矢は狙った標的までブレずに飛んでいくことから、迷子じゃなくなり真っすぐ進んでいる様子も表現しています。藤原基央の描く世界観や言葉のイメージは深いところまで見通してます。
涙とは自分の内側にある見えない感情が偽物でないことを証明するものと言えるかもしれません。
「涙のふるさと」へ続く
物語は弓を渡る前(涙が流れる前)で終わっていますが、次の曲の「涙のふるさと」のイントロで「1,2,3」とカウントが入ってることで「せーの、さあ弓を渡ろう!」みたく響くんですよね、すごい爽快感があります。
BUMP OF CHICKEN「涙のふるさと」の楽曲情報と歌詞の意味へ
BUMP OF CHICKEN「arrows」のライブ情報
「arrows」のライブ演奏記録
初披露日時 | 初披露ライブ | 演奏頻度 |
2008年1月10日 | ホームシック衛星@Zepp Tokyo (東京都) |
「arrows」のライブ映像が収録されている作品
現在、「arrows」が収録されている映像作品はありません。