「ファイター」歌詞の意味‐自分の居場所を守ること‐

 

制作時期2014年
収録アルバムButterflies
発売日2014年11月28日(DL)
作詞作曲藤原基央

BUMP OF CHICKENの『ファイター』はバンプ3作目の配信限定シングル、通算26枚目の作品になります。

この曲は『3月のライオン』とコラボした作品であり、本の特典としてCDが付属するという形で発売されました。

曲からは誰もが弱くて、それでも戦っているという印象を受けました。

それでは歌詞の意味を解釈していきたいと思います。

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楽曲解説

3月のライオンと夢のタイアップ

『ファイター』は漫画家である羽海野チカ先生の『3月のライオン』のテーマソングとして書き下ろされた楽曲です。3月のライオンの10巻特装版にCDが付属する形で販売されました。

なぜ夢のコラボなのかと言いますと、これはバンプと羽海野チカがお互いの作品のファンであり、リスペクトしあう両者がタイアップしたからです。

羽海野チカ先生は「人形劇ギルド」が完成した時にもバンプにコメントを残していました。

羽海野先生は『ファイター』というタイトルを見た時に「ダーツで真ん中を抜かれた」気分になり、3月のライオンは戦ってる人の話だということを再認識できたと話しています。

MVには番場監督が制作したものと、「3月のライオン meets BUMP OF CHICKEN」の2つ存在します。

バンプが3月のライオンに出会ったきっかけ

藤原さんはある日セブンイレブンに行くと、レジ横の新刊の台に「3月のライオン」の1巻が並んでいました。

それを見つけると、表紙とタイトルに惹かれ衝動買いしました。

家に帰って読んでみると言葉で言い表せないおもしろさがあり、そのまま2巻3巻4巻と続きを購入していきました。

そして5巻が発売されたくらいの時に、藤原さんは増川さんとTSUTAYAに行きました。

藤原さんは増川さんが読んだことあるかなー?と思い

「これすっごく面白いよ」

と話しかけたら、全然違う人でした(笑)

こんな感じで増川さんからメンバー全員に広がり、みんな「3月のライオン」のファンになりました。

藤原基央が影響を受けたマンガ

Cut カット 2014年12月号」では3月のライオンのインタビュー記事に加えて「BUMP OF CHICKENの4人が愛する名作マンガ10選」という記事が載っています。

そこで藤原基央が挙げた作品は「ガラスの仮面」と手塚治虫の「火の鳥」でした。

特に我王の話が描かれた「火の鳥(鳳凰編)」に関しては高校を辞めた時に読んでなかったら今の自分はなかったと話すほど、大きな影響を受けているそうです。

生きることの苦しみや絶望、人間の本質やカルマなどバンプの楽曲にもその影響を受けていることがわかりますのでぜひ一読されることをお勧めします。

BUMP OF CHICKENが影響を受けたオススメするマンガ10選!!


歌詞解釈と意味

自分自身を書いた曲

藤原さんはコラボで曲を作るにあたって「自分のことを書こう」と思ったそうです。それしか渡せるものがない、もしダメだったら切ってしまって構わないという覚悟で臨みました。

“僕はこの“ファイター”で僕のことを書こうと。どうやって生きてきたかを書けばいいだけだと思った”

藤原基央
出典:CUT 2014.12

羽海野チカさんもコラボ作品でやるんだったら「自分の話を描こう」と思ったそうです。子供の頃、話すのが下手で友達がいなかったという、とても恥ずかしい話だったので描こうか迷ったそうですが、自分の中で忘れられないものを描くしかないと思ったそうです。

“このコラボのマンガの話も全部、私の話なんです”

羽海野チカ
出典:CUT 2014.12

偶然にもお互いが自分のことを描いた作品を作っていたのです。普通ならコラボの相手の作品に寄せてしまいがちですが、この2人は自分のことを描けば作品の本質と繋がると思ったんでしょうね。お互いがリスペクトしていないと到底できることではありません。

自分の居場所を守ること

藤原さんは自分がどうやって生きてきたかを書けばいいと思いましたが、どんなところをそう思ったのか?

『3月のライオン』の桐山零くんは作中で必死に自分の居場所を探しています。桐山くんは学校で友達がいませんが、子供の頃から将棋が好きでのめり込んできたので、友達同士で話すような一般的な話ができません。

将棋と距離を置いて周りと合わせることができたかもしれません、でも桐山君は将棋から逃げなかった。

その結果、桐山君を理解してくれる人が周りにいっぱいできた。でもそれは将棋を辞めたらなくなってしまうもので・・・

将棋を辞めるか続けるか悩んでいく中で、結局、続ける道を選んだ桐山零。好きとか嫌いというレベルを越えて将棋と向き合ったから、今の世界がある。

自分を肯定してくれる人、否定する人、全てひっくるめて将棋がくれた出会いだった。

“彼がいる居場所は、彼が将棋を指すことをやめたらなくなってしまうもので。類似点を探すのであれば、僕もそういう気持ちで曲を書いているってところですね”

藤原基央
CUt2014.12

高校1年で周りと馴染めずに中退した藤原さんは、零くんと重なるところがあったのだと思います。

そして音楽の世界に入り、メンバーやプロデューサー、スタッフ、リスナーなど彼を理解してくれる人がたくさんできた。そしてもし音楽を辞めたら、自分の居場所がなくなってしまうかもしれない。『66号線』にもそんな不安な気持ちを表現していますね。

BUMP『66号線』歌詞解釈と意味‐MORとの関係と数字の意味‐

歌詞にある《普通の触れ方》とは“周りと合わせること”なんだと思います。藤原さんはたとえタイアップでも相手に合わせるようなことはしません、自分が思ったことを素直に表現するだけです。

“俺は俺の曲を書くだけでいいからさ。逆の言い方をすると、タイアップを商法として見た場合には、僕らは非常にレーベル泣かせというかさ(笑)それこそ、商法としてはおいしい話をいっぱい断ってきてるわけだし”

藤原基央
出典:MUSICA 2015.05

《ここにいるためだけに 命の全部が叫んでる》このフレーズに自分の居場所を守るために戦っているんだという思いが集約している気がします。

なぜ虫と目が合って笑ったのか?

“オーロラが広がっているって知った

ふと足元の虫と目が合って笑った”

「ファイター」/BUMP OF CHICKEN

なぜ虫と目が合って笑ったのでしょう?

その後に《全てその声が見せてくれた》とあるので、それが答えです。

では《その声》とはなんなのかというと「心」であり、「生きるために必要なもの」なのです。

オーロラとは綺麗なものの象徴で、夢や憧れを意味していて、虫とはちっぽけな存在を意味しているように感じます。

つまり「オーロラ」と「虫」という大きなものと小さなものの対比がまるで夢に焦がれるちっぽけな自分と似ているようで笑ってしまったんですね。その前の歌詞にも「流れ星」と「魚」という大きなものと小さなものの対比が使われています。

そして虫でさえ生きるために戦っているんだということを、《その声》は見せてくれたんだと思います。

誰もがファイターである

この曲を聴いて「これって自分のことだ!」って思って励まされた人はたくさんいると思います。

生きるということは戦うことです。

ただ生きていることでさえとても大変なことで、何もせずにいたらお腹が減って死んでしまいます。

生きるためには働かなくていけなくて、誰もが命を守る為に戦っているのです。

でも人間が本当に守りたいものって自分の命じゃなくて心や心を休めることができる場所なんだと思います。

好きなことを仕事にしている人でさえ、好きなものを奪われてないように戦わなければいけないのです。

なにもしなければ「時間」に全てを奪われていくだけです。

周りに合わせて生きていくって辛くないですか?好きでもない人といっしょにいて辛く感じるのは“自分の心を殺している”からではないですか?

心を殺して生きるというのは死ぬことより辛いことだと思います、だから自殺する人がいるんだと思います。

人は自分の心を守る為に生きているんです、そのために居場所が必要なんです。

“ちゃんと守れるように 作られた体で生まれたよ”

「ファイター」/BUMP OF CHICKEN

「生まれた体」という自然発生的な言葉ではなく「作られた体」という人工的な表現は、「生まれる」という言葉の重複を避けるだけでなく、何者かの意志によって人間が作られたという生命の根源を暗示させる藤原基央の宇宙観を思わせます。

手塚治虫の「火の鳥」に多大な影響を受けたと話しているので、その考えが表れていると感じさせる言葉でした。

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