BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「sailing day」(セイリングデイ)を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の解説や歌詞の意味、制作背景などについてご紹介します。「sailing day」を聴く際に参考にして下さい。
BUMP OF CHICKENのアルバム『ユグドラシル』楽曲一覧へ
参考
- ROCKIN`ON JAPAN 2003年3月号、2004年9月号、12月号
- トーキンロック!2004年9月号
- B-PASS 2004年9月号
BUMP OF CHICKEN「sailing day」の公式情報
BUMP OF CHICKEN「sailing day」の基本情報
タイトル | sailing day(6th single) |
カップリング | ロストマン(両A面) |
発売日 | 2003年3月12日 |
完成時期 | 2003年1月 |
作詞作曲 | 藤原基央 |
収録作品 | ユグドラシル(4th) BUMP OF CHICKEN I<1999-2004> |
タイアップ | 映画「ワンピース デッドエンドの冒険」主題歌 |
BUMP OF CHICKENの「sailing day」は通算6枚目のシングル「sailing day/ロストマン」に収録されている楽曲です。「sailing day」は日本語で“出航の日”という意味を持ち、同じく出航をテーマにした作品に「グングニル」があります。
バンプ初の両A面シングルで、初の映画タイアップである『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』の主題歌に書き下ろしました。
前のシングル | 現在 | 次のシングル |
スノースマイル(5th Single) | sailing day/ロストマン(6th Single) | アルエ(7th Single) |
「sailing day」の制作背景
「ロストマン」の反動で早く完成した
作詞に9ヶ月かかった「ロストマン」が2002年9月に完成し、その反動のせいか「スノースマイル」、「ホリデイ」を順調に書き上げ、2003年1月に「sailing day」を完成させました。
「ロストマン」がシーケンサーで構築した音が多かったので、「sailing day」ではバンド感を出したかったのかもしれないと藤原は話しています。
ワンピースの映画主題歌に書き下ろし
「sailing day」は映画『ワンピース THE MOVIE デッドエンドの冒険』の主題歌として書き下ろされました。BUMP OF CHICKEN初の映画主題歌書き下ろし曲で、作詞者の藤原基央をはじめバンプのメンバー全員がワンピースのファンです。
藤原はワンピースの世界観を知っていたので、タイアップの話を聞いた時に簡単に曲が書けると思ったそうです。
“俺少年ジャンプ毎週買って、ちゃんと読んでたからさ。「ワンピース」の世界観てのを理解してたつもりだから。「ワンピース」だったらきっと、共通の価値観を探すのは凄い簡単な作業だろうなと”
藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2003.03
藤原基央のタイアップ曲の制作スタイル
藤原がタイアップ曲を書く時は「BUMP OF CHICKENとタイアップ相手の世界観の共通部分を描く」という作詞姿勢がありますが、これは初の書き下ろしである「sailing day」の時から今もなお変わらず貫いている藤原基央の制作スタイルです。
タイアップ曲へ対する不安
藤原はタイアップがついたことで、この曲がちゃんと内容を評価されず活発な部分だけ評価されて、軽視されてしまうのではないかという不安を抱えていました。
“他の曲に比べたら聴いてくれた人の多い曲だと思うんですけど。ただ、まあ曲調も手伝ったりとかタイアップどうのこうのとかで軽視されてるかもしれないという感覚はありましたね”
藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2004.09
さらに藤原はタイアップをよく思わない人が一定数いることを予測していました。
それを知りながらタイアップに踏み切った理由は、自分たちの音楽をより多くの人に届けられるからです。このスタイルも今も昔も変わらず貫いている姿勢です。
sailing dayのMV情報
sailing dayのMV情報 | |
監督 | 番場秀一 |
撮影場所・ロケ地 | 幕張メッセLブロック駐車場(千葉県) |
出演 | BUMP OF CHICKEN、モンキー・D・ルフィ、女子高生、強盗、警察 |
「sailing day」のMV(PV)は番場秀一監督によって千葉県の幕張メッセLブロック駐車場で撮影されました。コストコ幕張店がバックに見えるのがわかります。
映像は逆境に立ち向かう様子をコミカルに描かれており、4人が演奏する傍らをワンピースの主人公・ルフィや女子高生、強盗、警官が大勢で駆け抜け、ごみや強風が吹きつけています。※2:20の所で女子高生のパンツが見えます
BUMP OF CHICKEN「sailing day」の歌詞の意味
ワンピースの世界と重なる歌詞
《永遠のドリーマー》という歌詞はワンピースに登場する黒ひげの「人の夢は終わらねェ!」というセリフを思い出します。2002年発売の単行本25巻でのセリフなので、この曲の制作中にはすでに藤原も知ってたと思われます。
画像/blomaga.jp
他にも《財宝》や《灯台》など歌詞の至る所にワンピースを彷彿させるワードがちりばめられています。もちろんタイアップの為に字面の良い言葉を選んだわけではなく、藤原自身の考えとワンピースの世界観が一致したからこそ出てきた言葉です。
永遠のドリーマーとは?
藤原は夢に対して厳しい価値観を持っており「乗車権」でも描かれているように、夢を追いかけることは非常に覚悟とリスクの伴う作業だと考えています。夢とは叶わないからこそ夢と呼ぶのであって、それでも追いかけてしまうものだと話しています。
“(夢とは)もうギラギラしててヤバいんです、ほんと。生半可な覚悟で見たら目がつぶれるぐらいの輝きなんです。で、それを見るんです、自分の意志で”
藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2004.12
sailing dayで伝えたいこと
運命に抵抗することの意味
“運命に抵抗したってしょうがないんですよ。どうしようもないんですよ。そういう俺が「sailing day」で運命に抵抗って歌詞を書いてるんですよ。だって、そのほうが楽しいじゃないですか。あがきましょうよ”
– 藤原基央 –
この発言からはどれだけ運命が自分の道を邪魔しようと、自分の意思で道を切り開こうとするとする力強さを感じます。「ロストマン」でも描かれていたように、人は諦めない限り失敗したことにはなりません。敗北や後悔さえも自分を成長させる糧となるのです。
たとえ自分の夢が叶わないという運命だったとしても、諦めない限り夢は終わらないのです。永遠のドリーマーなのです。
“間違ったとしても、正しさを祈ってる段階では間違いじゃないなって。祈ることをしなくなった段階で、正しくても間違いになるわけで”
藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2003.03
たった1秒でも自分らしく生きる為に
主人公が精一杯存在の証明をしているように、《たった一秒生きる為》というフレーズは「1秒でも自分らしくある為」にということの言い換えなのでしょう。運命に必死で抵抗することは自分らしくある為なのです。藤原はインタビューで以下の発言をしています。
“ほんの1秒でもいいから、俺が俺として機能したい。すべての時間が、その1秒のためにムダになってもかまわない”
藤原基央
出典:ROCKIN`ON JAPAN 2003.03
BUMP OF CHICKEN「sailing day」のライブ情報
「sailing day」のライブ演奏記録
初披露日時 | 2003年3月28日(火) |
初披露ライブ | 「ワンピース~デッドエンドの冒険~」試写会ミニライブ@Zepp Tokyo (東京都) |
演奏頻度 |
「sailing day」は疾走感があるロックナンバーでライブ映えしそうな印象ですが、近年はそれに代わる曲が多数あるせいか演奏率は下がってきています。2012年のGOLD GLIDER TOURではアコースティックバージョンが披露されました。
「sailing day」の収録されているライブ映像作品
タイトル | 備考 |
GOLD GLIDER TOUR 2012 | 恥ずかし島でアコースティックver.が演奏された |