【BUMP】月虹(げっこう)の公式情報と歌詞の意味‐倒れることすら許されない状況で書いた曲‐

BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「月虹」(読み方:げっこう)を公式情報やインタビューを元に解説していきます。

この記事では楽曲の解説や歌詞の意味の考察、制作背景などについてご紹介します。「月虹」を聴く際に参考にして下さい。


参考

  • CUT 2014年12月号、2018年11月号
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BUMP OF CHICKEN「月虹」(げっこう)の公式情報

BUMP OF CHICKEN「月虹」(げっこう)基本情報

タイトル月虹(げっこう)
発売日2019年7月12日
作詞作曲藤原基央
完成時期
収録アルバムaurora arc(9th Album)
タイアップアニメ「からくりサーカス」第1クールOP(第1幕~第12幕)

アニメ「からくりサーカス」第3クールED

BUMP OF CHICKENの「月虹」(げっこう)はアルバムaurora arcに収録されている楽曲です。アニメ「からくりサーカス」第1クールのオープニング曲として書き下ろされました。

サウンドは打ち込みなどなく、レコーディングは全て生演奏されたものが使用されています。

BUMP OF CHICKEN「aurora arc」のアルバム楽曲情報と制作背景へ

「月虹」(げっこう)のタイトルの意味・由来

月虹とは?

月虹の写真
画像:sideworklabo.com
月虹とは
月虹(げっこう)とは夜に月の光により生じる虹のことです。ムーンボーとも呼ばれ、月虹がよく観測されるハワイ諸島のマウイ島では、これを見た者には「幸せが訪れる」「先祖の霊が橋を渡り祝福を与えに訪れる」と言われています。(Wikipediaより)

「月虹」とは上の説明のように元々ある言葉ですが、藤原基央は歌詞を書いてる時から月と虹のイメージがあったので『月虹』というタイトルをつけ、それは自分で造った造語のつもりで書いていました。

後で調べて、もともとある言葉だと気付きましたが、それでも藤原は「自分で作った自分だけの言葉だと思っています」と話しています。

「月虹」ってタイトル、造語のつもりでいたんですけど、調べたらもともとそういう言葉があるみたいで、ちょっと恥ずかしい思いをしました(笑)

藤原基央
出典:CUT 2018.11

「月虹」(げっこう)の制作背景

「月虹」はアニメ「からくりサーカス」のオープニング曲の依頼を受けて制作が開始されました。アニメ化される情報はチャマから聞いていた藤原でしたが、まさか自分たちが主題歌を担当するとは思っていなかったそうです。

タイアップの依頼が来た時に、藤原は「シリウス」、「Spica」、「望遠のマーチ」を書いていた時で体力的にかなり消耗している時でした。しかし「からくりサーカス」は10代の頃から好きな作品だったので、藤原は仕事がいっぱいで大変だったにも関わらずオファーを快諾しました

「からくりサーカス」って、僕たちが17、18歳くらいのときに連載が始まったと思うんですよ。そんな頃から好きな作品だから絶対やりたい、そんな夢みたいな話しあっていいの?って

藤原基央
出典:CUT 2018.11

限界でも立ち上がらなきゃいけない藤原

「月虹」の制作は「話がしたいよ」の完成後に始まりましたが、藤原は度重なるタイアップのオファーの為「話がしたいよ」の制作中の時には既に頭がいっぱいいっぱいで窒息状態でした。

そのため「話がしたいよ」の時は、一度ベンチに腰を落ち着けて書くという方法で書かれましたが、「月虹」も同じ方法で書く訳にはいかないので何が何でも立ち上がらなければなりませんでした

ベンチからもう一回腰を上げようと思ったけど上がんなかった。でもベンチに腰を落ち着けて書くっていうことはもうやっちゃったから、俺はもう一回何が何でも立たなきゃいけなかったんです

藤原基央
出典:CUT 2018.11

そこで藤原は窒息状態でも立ち上がらなきゃいけない自分の状況と、倒れることが許されない「からくりサーカス」の登場人物たちの境遇を重ね合わせて曲を書きあげました



アニメ「からくりサーカス」とのタイアップ

バンプの「からくりサーカス」への熱い想い

あらすじ
莫大な遺産を相続して親族から狙われた少年・才賀 勝(さいが まさる)を守るために戦う拳法家の青年・加藤 鳴海(かとう なるみ)と人形遣いの女性・しろがねの数奇な運命を描く。鳴海との別れをきっかけに物語は2つに別れ、勝としろがねは潰れかけのサーカスに身を置き、鳴海は人類に仇なすからくり人形との闘いに巻き込まれる。そして、全く異なる2つの物語は交錯しながら一つに収束していく。(Wikipediaより引用)

BUMP OF CHICKENのメンバー全員が「からくりサーカス」のファンで、作者の藤田和日郎(ふじたかずひろ)先生の初連載マンガの「うしおととら」や「双亡亭壊すべし」など他の作品も愛読しています。

藤田先生の作品はポンツカでも時々話題に上がり、雑誌「CUT」2014年12月号のインタビューではメンバー各々の「からくりサーカス」に対する想いを語っています。

BUMP OF CHICKENの書庫

BUMP OF CHICKENはメンバー4人ともアニメや漫画が好きな事でも知られています。 それだけでなくマンガというメ…

アニメ「からくりサーカス」はAmazonプライムビデオで全話独占配信されました。

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アイリッシュなサウンド

「月虹」はアコーディオンの音色と独特なギターの音階が相まって、アイリッシュ(アイルランド)音楽の雰囲気が色濃く出たサウンドが特徴的です。

アコーディオンを演奏する藤原基央
画像:boc_chama_9 Instagram

昔からバンプの音楽はいろんな専門家から民族的な音が根付いていると評されており、その代表的なものに「車輪の唄」や「ダンデライオン」などがあります。アイルランド音楽で使わる主な楽器はアコーディオン、バンジョー、マンドリン、ティン・ホイッスル、フィドル、バグパイプなどがあります。

以下の動画の音楽を聴くとアイルランド音楽の雰囲気が掴めると思います。

ゲームが好きな人なら、アイルランド音楽から「旅のBGM」をイメージする人が多いと思います。実際に多くのゲームのBGMでアイルランド系の音楽が使用されています。

子供の頃からゲームで遊び、サントラを聴いて育った藤原の音楽のルーツはゲームミュージックにあるのかもしれません。ちなみに藤原がプライベートで初めての海外旅行で選んだ国はアイルランドでした。



BUMP OF CHICKEN「月虹」(げっこう)の歌詞の意味

空っぽの正体とは?

膨張する空っぽ

あまりにこの空っぽが 大き過ぎるから

「月虹」/BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKENの歌詞によく登場する《空っぽ》という言葉。上のフレーズ以外にも《胸の奥で際限なく育ち続ける》と言ってることからも、空っぽはどんどん大きくなっていると考えられます。

この「空っぽ」を「真空状態」を例にして説明したいと思います。

ビンの中に、少しだけ空気の入った風船を縛って入れたとします。そして空気抜きポンプを使ってそのビンから空気を抜いていきます。

下の図を参照

空気を抜いて真空状態にしたことで、ビンの中は“空っぽ”の状態になりました。逆に風船はビンの中と同じ圧力になろうとして膨らみます。フタを外して空気を入れてあげると、風船は再びしぼんでいきます。

何が言いたいのかと言うと、何もない状態を作ると、自分の外側にある同質のものに同調しようとする力が働くということです。

この実験では、風船に空気が少しだけ入っています。この空気の部分を人の胸の奥にある思いに置き換えると、自分の内側にある思いが自分の外側の世界で実現しようとする力と同調して膨張するのだと思います。

仮に内側にあるものが夢だとしたら、外側の世界にある夢と同質のものと同調するというわけです。

呼び合う力

実はこの世界に、本当の意味でなにもない空間は存在しないのです。何もない空間があると、そこには空間を埋めようとする力が働きます。

先ほどの「自分の内側にある空っぽが膨張する力」「外側から何もない空間を埋めようとする力」の2つの力が、バンプの歌詞でよく登場する“呼び合い続けるもの”の正体なのです。

なので自分の空っぽを埋める為に願いを叶えるということは宇宙の摂理、自然の法則でもあるのです。《涙の帰る家》とは自分の中の空っぽの空間なんでしょうね。

落ちた涙の帰る家を見つけたら
宇宙ごと抱きしめて眠れるんだ

「月虹」/BUMP OF CHICKEN

なぜ人は生まれてきたのか?

同じ様な生き物ばかりなのに
どうしてなんだろう わざわざ生まれたのは

「月虹」/BUMP OF CHICKEN

哲学的な問いですが、バンプは過去の楽曲で何度も生きる意味について歌っています。

世界には何十億人もの人間が生きています。その中で自分という人間が生まれたことに意味や価値はあるのでしょうか?

結論から言うと、物事に価値を与えるのは“周りとの違い”です。

例えばゲームのキャラが全員同じ能力だったらなんの面白みもないですし、一人一人のキャラの価値がなくなります。

映画やドラマの登場人物が全員同じ性格だったら、そんな作品見る気もしないですよね。

虹をキレイだと感じるのも、違う色が並んでいるからです

自分という人間に価値を与えているのは、他者との違いであり、その違いを生み出しているのは一人一人の内側にあるものなのです。

周りと同じことをすれば安心を得られますが、自分の選んだ道を正しいと証明してくれるものはありません。それを《たった一度だけでも頷いて欲しい》というフレーズで、「自分が正しいことをしているんだという安心感が欲しい」という切実な思いを表現しています。

そもそも人の幸せは、自分らしく生きることなくしてあり得ないのです。それに気付かせてくれるのが「時間」であり「死」です。「月虹」では《世界が時計以外の音を失くした》と表現しています。

もし虹をキレイだと思えたなら、それは自分が他者と違うことの素晴らしさに気付いていることにならないでしょうか?

理由ひとつだけ 虹を見たから

「月虹」/BUMP OF CHICKEN



月虹というタイトルをつけた理由

先ほど説明した通り「月虹」というタイトルは、藤原さんが自分で作った言葉だと思って付けた名前です。なので藤原さんの考えが反映された言葉であると思われます。

まず《月》と一緒に《舞台》いう言葉が使われていることから「Stage of the ground」の歌詞を思い浮かべます。

あの月も あの星も 全て君の為の舞台照明

「Stage of the ground」/BUMP OF CHICKEN

自分を人生という舞台の主人公に見立てているのがわかります。

なので「月虹」の「月」とは舞台におけるスポットライトのような、演者を照らす光であると考えられます。

つまり零した涙に、自分を照らす光が射し込んでできた虹が“月虹”であることがわかります。普通の虹と違い夜に見えることで、正しい道がわからない暗闇の中で虹という正しさ(他者との違いを肯定するもの)に出会い、勇気を貰ったと解釈できます。

身を焦がすような熱い太陽ではなく、「月」だという所が優しく包んでくれるような光をイメージできますね。なんか絶望のどん底で優しく微笑んでいるような、頷いてくれているようなそういう感じです。

ただ人間という生き物として存在していただけなのに、大切なものができて、それが呼吸を始めた。

「月虹」で伝えたいこととは

「月虹」という楽曲は、舞台の上のことを描いていますが、ただの生き物としての命が大切なものを見つけてしまった為に、その大切なものを守りたい、手に入れたいという思いから、その役割を演じるようになってしまったということを舞台の上の演者に喩えています。

あっただけの命が震えていた
あなたひとりの 呼吸のせいで

「月虹」/BUMP OF CHICKEN

スポットライト(月)に照らされて、私は自分を演じ続ける。スポットライト(月)には届かないと知りながらも演じ続ける。

しかし、ずっと続けているとこんな疑問が頭をよぎります。

「自分自身を演じ続けることに意味はあるのか?」

「この道の先に答えはあるのか?」

そんな不安な気持ちから零れた涙。その涙に月の光が射しこんでできた虹。

幾つもの色が寄添ってできる綺麗な虹、それが落とした涙の答えです。

周りと違うから世界は輝く。

叶う叶わないの話じゃなく、自分自身であり続けることに意味があるのです。真実はいつも真ん中にあるのです。

虹は掴むものではなく、虹であることに意味があるのです。

人生において人は、子供の役、友達の役、恋人の役、ヒーローの役、その時々で演じる役を変えます。演じていない人間なんて誰もいません。

人は誰もがそれぞれの舞台の上に立って、世界に1人だけの役を演じているのです。

理由ひとつだけ 虹を見たから
いつだって 舞台の上

「月虹」/BUMP OF CHICKEN

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