BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の楽曲「ラストワン」を公式情報やインタビューを元に解説していきます。この記事では楽曲の解説や歌詞の意味、制作背景などについてご紹介します。「ラストワン」を聴く際に参考にして下さい。
参考資料
- MUSICA 2014.03、04
BUMP OF CHICKEN「ラストワン」の公式情報
BUMP OF CHICKEN「ラストワン」の基本情報
タイトル | ラストワン |
発売日 | 2014年3月12日 |
作詞作曲 | 藤原基央 |
完成時期 | 2012年11月13日 |
収録作品 | RAY(7th Album) |
タイアップ | なし |
BUMP OF CHICKENの「ラストワン」はアルバム『RAY』に収録されている楽曲です。
タイトルは藤原が仮面ライダーフォーゼを見ていて、作中に出てくる「ラストワン」という言葉を聞いて付けられました。
「ラストワン」の制作背景
タイトルの由来は仮面ライダーフォーゼ
タイトルの「ラストワン」は“最後のひとつ”を意味し、藤原が仮面ライダーフォーゼを見て付けたものです。ちなみに仮面ライダーフォーゼは宇宙がテーマになっています。
あるテレビ番組を観ていて。“ラストワン”っていうのは、その中で出てきたんですよ
藤原基央
出典:MUSICA 2014.04
仮面ライダーフォーゼにおける「ラストワン」とは?
仮面ライダーフォーゼは学園が舞台となっていて、「アストロスイッチ」というスイッチを使ってさまざまな力を手にすることができ、仮面ライダーや怪人に変身することができます。
何種類もあるアストロスイッチ/出典:アマゾン
学園に潜む悪いヤツが悩みを持った生徒の弱い心につけ込み、「このスイッチを使えば強くなれる」と誘惑し、アストロスイッチを生徒に渡します。
使い始めた生徒は怪人になり、スイッチの使用回数が残り1回になると怪人から自力では人間に戻れなくなってしまうことを「ラストワン」と言います。
悪いヤツらが普通の高校生とかに、悪者に変身できるスイッチみたいなのを渡すんですよ
藤原基央
出典:MUSICA 2014.04
「ラストワン」のレコーディング
頭を振りながらレコーディング
この曲はプリプロから完成形が見えるまで時間がかかった楽曲です。いろんなアレンジの可能性を持っており、ドラムの升も1回打ち込んではまた考えての繰り返しで、何度も実験をしながら頭を使って制作していました。
最終的にフィジカルなものになり、それゆえみんな頭を振りながらレコーディングしていたという背景がありました。
BUMP OF CHICKEN「ラストワン」の歌詞の意味
「ラストワン」の曲のテーマ
テーマは変わること
タイトルのきっかけになった「仮面ライダーフォーゼ」も〈変身〉がテーマであるように、「ラストワン」の歌詞も“変わること”がテーマになっています。
変わるのって大変だよなって思ってたんでしょうね。特に、いい方向に物事が変わるのって大変だなぁって
藤原基央
出典:MUSICA 2014.04
「ラストワン」の歌詞の内容
隣の芝生は青く見える
「ラストワン」の歌詞の主人公は、ないものねだりで上手くいってる人の持っているものを羨んだり、欲しがったりしています。
他人を羨みながらも、必死で自分自身を受け入れようと葛藤する様子が描かれています。
〈世界〉と〈自分〉の対比と矛盾
“嫌いな自分と一緒に世界まで嫌わないように”
“嫌いな世界と一緒に自分まで嫌わないように”
ラストワン/BUMP OF CHICKEN
これは自分と世界の「対比」と「矛盾」を表しています。この対比と矛盾は藤原基央が得意とする手法のひとつで、「本質」を浮き彫りにするために使われます。
ここでの本質とは、
何かを好きだと言うことは、何か嫌いなものがあるということ。
何かが嫌いだと言うことは、何か好きなものがあるということ。
全ては相対的なものなのです。自分が醜く見えるのは自分のせいじゃなくて、自分よりも輝くものがあるから。
そういった相対的なものに惑わされずに、ありのままの姿に気付かせるための手法です。
名作「アルケミスト」に学ぶ、幸福の秘密
私が愛読する小説「アルケミスト」には“幸福の秘密”について次のようなことが書かれています。
「幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」
出典:アルケミスト/パウロ・コエーリョ著
補足説明すると、主人公の少年に“幸福の秘密”について教えようとした王様は少年に2滴の油が入ったティースプーンを渡し、その油を零さないようにしながら宮殿内を2時間見て周るように言いました。
しかし少年はそのスプーンの油を零さないように注意するあまり、宮殿内にあった美しいものに気付きませんでした。
次は宮殿の中をしっかり見ようと意識すると、スプーンの油はいつの間にかなくなっていました。
この話はいかに自分の身近なものを大切にしながら周囲のすばらしさに気付くことの難しさを象徴しています。
BUMP OF CHICKENの「ラストワン」で描かれている【対比と矛盾】が意味するのはこの「アルケミスト」で描かれていることと同じことなんだと思います。
「アルケミスト」を愛読書にしてる著名人は多く、生きることの本質に気付かせてくれる名作なので興味ある方はぜひ一読下さい。
ラストワンで伝えたいこと
ありのままの自分を受け入れること
出典:ameblo.jp
変わらないままの人と 鏡の前で向き合えるように
そう変わるんだ 一度だけ変わるんだ「ラストワン」/BUMP OF CHICKEN
ここでの《そう》は「そのように変わるんだ」という意味です。
〈そう変わるんだ〉って、最後にあるじゃないですか。これは「そうなんです」の「そう」じゃなくて、「そのように」の「そう」なんですね
藤原基央
出典:MUSICA 2014.04
つまり「ラストワン」で伝えようとしている“変わること”こととは、ありのままの自分と向き合えるように変わることなのです。
人の生き方は「自分らしく生きるか?誰かの真似をしながら生きるか?」の2択しかありません。「morning glow」にも《まるで自分が自分でいることを諦めたような気がする》と似たような表現が出てきます。
自分自身に変われるのは1度だけです、なぜなら自分は世界に1人しかいないのですから。
でも結局変わらないと。変わりたいっていう気持ちがあってもやっぱり、僕達は変わらなくても済む自分をきっと探してると思うし
藤原基央
出典:MUSICA 2014.04
藤原基央の偉人と共通する考え
「ラストワン」では自分と向き合うことと、他人を羨むことが描かれていますが、偉人のラルフ・ウォルドー・エマソンの言葉にこんなものがあります。
嫉妬は無知のしるしであり、人真似は自殺行為である
絶えずあなたを何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けること。それがもっとも素晴らしい偉業である
エマソン
出典:エマソンの自己信頼
藤原基央の思想はエマーソンに限らず偉人の思想と非常に共通している部分が多くあります。
結局、自分は自分でしかなく、誰かになるなんてことはできないのです。なぜなら心や魂が違うのですから。
BUMP OF CHICKEN「ラストワン」のライブ情報
ライブでの演奏
初披露日時 | 2014年4月5日 |
初披露ライブ | WILLPOLIS 2014@幕張メッセ 国際展示場 9~11ホール (千葉県) |
演奏頻度 | |
演奏されたライブ/ツアー | WILLPOLIS 2014 |
ライブ映像が収録されている作品
現在、「ラストワン」が収録されている作品はありません。