「ダイヤモンド」歌詞の意味-バンプ渾身のメッセージソング-

発売日2000年9月20日
カップリング曲ラフメイカー
売上枚数92,797枚
前作ランプ

BUMP OF CHICKEN『ダイヤモンド』はバンプ通算3枚目のシングルであり、記念すべきメジャーデビュー初の楽曲でもあります。

この曲は物語形式ではなく、バンプが世界に放った渾身のメッセージソングです。「ガラスのブルース」もメッセージ性の強い歌詞ですが、バンプからリスナーへ向けてというより、リスナーがメッセージを読み取る感じでした。

「ダイヤモンド」は誰が聴いてもちゃんと機能してくれる普遍性を持った名曲です!

それでは楽曲の解説と歌詞の意味を解釈していこうと思います。

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楽曲解説

「ダイヤモンド」というタイトルを付けた経緯

「ダイヤモンド」というタイトルは歌詞を完成させた後に歌詞を見渡してほんの5秒で付けました。

それ以外のタイトルが見つからなかったというくらい、その時の藤原さんの気持ちそのものだったようです。

というのも、メジャーデビューにあたって契約関係やら大人の世界の汚いものをたくさん見てしまった藤原さんでしたが、良い曲があればそういった汚いものにカタをつけられる、そういう気持ちからキラキラと輝く「ダイヤモンド」という言葉が出て来たそうです。

ダイヤモンドの意味については歌詞解釈にて説明します。

バンプ渾身のメッセージソング

「ダイヤモンド」以前の楽曲では藤原さんが自分自身を歌う楽曲が多くありました。しかし「ダイヤモンド」は自分自身でもなく物語形式でもなく、ファンや特定の誰かに対して伝えたい気持ちを詰め込んだメッセージソングでした。

“今までは俺が俺を歌いましたって曲が多かったけどーこれはメッセージソングにしたいなと思って”

藤原基央
出典:ROCKIN‘ON JAPAN 2000.10

そしてあまりにも普遍的なテーマを詰め込んだ歌詞だったせいか、曲を聴いたベースのチャマさんは「もう一生曲書けないじゃん!これ以上に言うことあるの?!」と思ったくらい、ダイヤモンドに凝縮されたメッセージは普遍的で全てを包み込んだような完成された歌詞だと感じたようです。

ライブハウス「渋谷クラブクアトロ」で初披露

画像:All About(オールアバウト)

渋谷のライブハウス「クアトロ」は新人アーティストの登竜門とも呼ばれる会場で、まさにバンプも例外ではなく、メジャー初となる「ダイヤモンド」をここで初披露しました。

しかしメジャーデビューするにあたって、古くからのファンからはこのように思われてしまいました。

「メジャーに行くなんてバンプ変わったな・・・」

しかしインディーズでもメジャーでもバンプがバンプであることには変わりはなく、ただ純粋に伝えたい気持ちが強くなったからだと話しています。

そして渋谷のライブハウス「クアトロ」で“この曲(ダイヤモンド)でメジャーに行くけど僕たちは変わりません”と前置きしたうえで

「プレゼントしたい曲がある、聴いてくれ“ダイヤモンド”!」

と言い放ち、堂々と「ダイヤモンド」を初披露しました。


ダイヤモンド制作秘話

歌詞を書いたノートをコンビニのコピー機に忘れる藤くん

実はダイヤモンド制作時にはちょっとしたハプニングもありました。

曲を完成させた藤原さんはトイズファクトリーから

「その歌詞をトイズに送ってくれないか?ファックスで」

という指示を受けます。

ファックスを送るのが初めてだった藤原さんは近くのコンビニで店員さんにやり方を教えてもらいながら歌詞を書いたノートをトイズにファックスしました。

その後、家に帰った藤原さんはノートをコンビニのコピー機に挟みっぱなしになっていたことに気付き慌ててコンビニに戻りノートを回収。

もしかしたら誰かに見られてたかもしれないと思うと恥ずかしくてたまらない藤くんでした(笑)

お隣さんから苦情

ダイヤモンドを自宅で作曲していた藤原さんは、大声で歌っていたために隣の部屋の人から「うるせえ寝ろ!」と怒鳴られてしまいました。

藤原さんはもう一度その人に会えるなら謝りたいと話しています。

当時の藤くんは金銭的にもそれほど良い部屋には住んでないでしょうからね、壁が薄い部屋で音がだいぶ漏れてたみたいですね(笑)

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

『PATHFINDER』新木場STUDIOCOASTライブレポ、MC“全力で想いをぶつけた若かりし頃”

歌詞解釈と意味

キーワードは「弱い自分」

この曲が一般的なメッセージソングと違う所はどこでしょうか?

それはただ上手くいっている部分だけを切り取るのではなく「弱い自分」も肯定してあげている所です。

人は上手くいってる時は「俺、頑張ってるじゃん!」と自分を褒めて、失敗したり上手くいってない時は「俺ってほんとダメなやつだな」と自分を好きになれない人って多いと思います。

でも失敗したり落ち込んだりしない人っていないですよね?

「弱い自分」も「強い自分」も必ず人にはあって、その両方があっての自分なんです。藤原さんは「-5+5=0でニュートラルな状態の自分」だと言っています。

“弱い部分 強い部分 その実 両方がかけがえのない自分”

ダイヤモンド

ほとんどの人は「ダメな自分」を嫌う傾向にあります。でもそれは当然ですよね、誰だってできるならカッコよく見せたいですからね。

でも「ダメな自分」は必ず誰にでもあります。その自分を救ってあげられるのは自分しかいないんです。

“大体の人が弱い方の自分てのを軽んじがちで。凄え頑張ってる自分に酔いしれがちで、ヘコんでる時の自分を嫌いになりがちで。それはでもね、救ってやんなきゃいけないと思うんですよ。”

藤原基央
出典:ROCKIN‘ON JAPAN 2000.10

弱い部分とはその人の強さである

前向きな明るい歌を聴いて無理に気分を良くしたって、それは自分に嘘をついていることになります。それは自分から目を背けているのといっしょです。

“『そんなこと言ってないで街へ出ようよ』じゃ、卑屈になってる理由が全く解決されてないし。それって要するに、卑屈になってる自分が全然救われてねえってことだし。閉鎖的な自分をおざなりにしながら、とりあえず街に出て、「やっぱ外の空気っていいなあ!」って言ってたってそれは嘘なの、俺の中では”

藤原基央
出典:ROCKIN‘ON JAPAN 2000.10

《血の跡を辿り戻ればいいさ》と言っているようにこの曲は、転んで「傷を負った弱い自分」を切り捨てて進んでしまっていたんですよね。

しかし「傷を負った弱い自分」から目を背けていたら、また同じような場面に出くわした時にまた苦しい想いをしなくてはなりません。だから引き返したわけです。

例えばテストが悪い点数だったり、異性にモテない、上手くギターが弾けない、こんな時って良くなるように努力して改善しようとしますよね?

別に上手くできない自分を嫌いじゃなかったら直さなくていいんです、でもそんな自分が嫌だったらそれは強くなりたいと思っている証拠ではないでしょうか?

《同じ時に震えたら強くなれた 弱くなれた》リボンの歌詞を思い出しませんか?

常に上手くいっている人っていうのは、自分に問題がないので自分を変える必要がないんです。悪く言えばずっと成長しないままなのです。

弱いから強くなる、これってすごく自然なことです、“自分が弱いせいで大切な人を守れなかった・・・もっと強くならなきゃ!”バトル漫画でありそうなセリフですが、こういうことだと思うんですよね。

つまり《弱い部分》っていうのは「強くなろうとしてる部分」でもあるわけですよね。

ダイヤモンドとはドラクエである

画像:YouTube

ここまでの話をドラクエ5で言えば主人公は序盤はレベルが低いから強くならなきゃいけないけど、パパスは最初からレベルが高いので強くなる必要がありません。ちょっと例えが悪かったですかね(笑)

ドラクエはレベルを上げてもストーリーが進むごとに強い敵が現れて、またレベルを上げてどんどん強くならなくてはいけません。

弱い自分から目を背けるというのは、ドラクエで強い敵に遭遇しても逃げ続け、レベル上げをしないままボス戦(逃げられない)に挑むようなものです。

そうなってしまったら道を引き返して「弱い主人公」のレベル上げをするしかないでしょう。

ダイヤモンドの意味

「ダイヤモンド」という言葉をタイトルにした理由は、ポケットに入るサイズでお守りのように持っててほしいという想いが込められています。

“上手に歌えなくていいさ いつか旅に出るその時は

迷わずこの唄をリュックに詰めて行ってくれ”

ダイヤモンド

“お守り”というのも、この曲は上手くいってない時も輝いている時にも、どっちでもない時でさえ、その人の気持ちに応えてくれる普遍性を持っていて誰にでも機能するからです。

だから歌詞の最後に《迷わずこの唄をリュックに詰めて行ってくれ》と言っているんですね。

“どんな時だって、ヘコんでる時だって輝いている時だって、どっちなのかわかんねえ時だって、絶対その時の気持ちをちゃんと補足してくれる、揺るぎない・・・・メッセージソングなんですよ!”

藤原基央
ROCKIN‘ON JAPAN 2000.10

そしてダイヤモンドと言えば輝きの他に“硬さ”も特徴の一つです。藤原さんはインタビューでは硬さについては触れていませんでしたが、先ほど解釈したように「弱い自分」を強くしていけばダイヤモンドのように強固な自分になれるという意味も込めているのではないかと思います。ハガレンの最終話でも似たようなセリフをエドが言ってました。


夢を叶えたい人へ

ダイヤモンドの原石 画像:purestone.com

ダメな自分を励ます歌というのは世の中に溢れていますが、「ダイヤモンド」は自分を励ますのではなく救い出す歌と言えるかもしれませんね。

個人的な話になりますが、私は昔海外を一人で旅することに憧れていたのですが、ビビりだった私は見ず知らずの土地に言葉もまともに通じない環境で旅をすることに怖気づいてしまいずっとその夢を置き去りにしたままでした。

でもずっと「置いていかないでくれ」っていうSOSは聞こえていて、それで怖いながらも旅に出ることができました。つまりダメだった自分を救ってあげることができたのです。

この曲はそういう自分の夢に対して「俺にはそんな夢叶えられるわけがない」と思っている人に対しても機能してくれる歌だと思います。

人は強くなるために弱さが必要で、弱い自分を救うために強さが必要なんだと思い知らされました。

弱い部分とは輝きを内に秘めたまだ磨かれていないダイヤモンドの原石なのでしょう。