BUMP OF CHICKENの名曲の一つである「ゼロ」はゲームソフト「ファイナルファンタジー零式」(FF零式)の主題歌として書き下ろされた曲です。
ファミコン世代であるバンプは幼い頃からFF(ファイナルファンタジー)をプレイしていて大人になった今でも大好きな作品だそうです。かくいう私もFFは大好きで小学生からずっとプレイしています!アドベントチルドレンは冗談抜きで50回は見ました(笑)
今回はFFとのタイアップによって生まれた名曲「ゼロ」になぞらえて、FFとバンプの繋がりについてお話したいと思います。
FF(ファイナルファンタジー)とは?
「ファイナルファンタジー」とはRPG(ロールプレイングゲーム)でFFという略称で親しまれており、1987年(昭和62年)に第一作目が誕生しました。今でこそナンバリングされたシリーズが出ていますが、当初の予定ではシリーズ化するつもりはなかったそうです。
1987年というとBUMP OF CHICKENのメンバーが8歳の小学2年生くらいの時で、一番ゲームに多感な時期ですね。
FFは開発者の坂口博信さんに生み出されFF5までディレクターとして開発に携わってきました。FF3の開発中に火事で母親を亡くし、それ以降のFFは「死」がテーマの物語になっています。
FF5より
“大切な人が死んでしまったときの、生き残った者の辛さをいやというほど味わいました。そして、どうやって、この悲しみを乗り越えていけばいいのか、生き残った者のすべきことはなんなのか、そんなことをいろいろと考えるようになりました”
坂口博信
出典:Wikipedia
インタビューで「FFは藤原基央の死生観に影響を与えているよね?」という質問に対し藤原は「そうかもしれない」と答えています。それほどFFが扱う「死」というテーマは重く、深く考えさせられるものです。
特に名作といわれるFF7に登場するエアリスというキャラの死は苦情が出るほどプレイヤーに与えた影響は大きかったようです。藤原さんもそのシーンで「めっちゃ泣いた」とコメントしています。
「エアリスの死」FF7より
このシーンは当時小学生だった私もすごく衝撃だったのを覚えています。ずっと一緒に旅をする仲間だと思って必死にレベル上げしていたのに、突然やってくる「死」によって決別してしまいます。
私はすごいショックで子供ながらも死や生きることの意味について考えさせられました。それほどFFの描く死生観はプレイヤーに大きな影響を与えました。
メンバーがプレイしたことのあるタイトル
FFはファイナルファンタジーというタイトルながらもずっとシリーズが続いていて1987年に記念すべき第一作目「ファイナルファンタジー」が誕生し「零式」が発売された2011年までには「ファイナルファンタジー14」まで出ていました。他にもスピンオフ作品も多数出ています。
メンバーがプレイしたことがある作品は、升さんだけFF1~4までで他のメンバーはほとんどプレイしているそうです。
メンバーで一番FFをプレイしていない升さんですが、別に嫌いなわけではありません。好きなキャラはFF4のセシルと答えています。FFにはさまざまな職業になれるジョブシステムがあるのですが、升さんがなりたいジョブは忍者だそうです。なぜなら升さんは「忍者ハットリくん」の大ファンだからです。なんかいかにも秀ちゃんらしくていいですね♪
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藤原さんのお母さんは少し特殊というか変わってますね(笑)パソコンがまだそこまで普及していない頃にパソコンを持ってたりして、「グングニル」という楽曲を作詞するときに槍についてお母さんに調べてもらったという制作秘話もあるくらいですからね。そういえば「グングニル」もFFに登場する最強の槍にちなんで付けられたタイトルでしたね。
⇒BUMP『グングニル』歌詞解釈と意味‐覚悟を決めるということ‐
「ゼロ」がリリースされた頃はFF1~10まではプレイ済みでしたが、それ以降は買ってあるけど忙しくてやる時間がないそうです。
最近は昔のゲームがいろんなハードに移植されていてほんとに便利な世の中になりましたね。あまり移植されることがなかった「FFⅢ」でさえ今はスマホで簡単にダウンロードして遊べちゃいます(有料)スマホ版はリメイクなので映像が綺麗になっています、ドット絵が良いという方はファミコンミニに収録されていますのでぜひチェックして下さい。
個人的なイメージですがメンバーの中で一番ゲームやってそうです(笑)ツイッターでもFF15の写真を載せていたのでおそらく全シリーズやっているのではないでしょうか?
チャマさんが一番好きだと話すFF8はシリーズで初めて恋愛要素が色濃く出た作品で、それに登場するラグナというキャラがすごくかっこいいんですよねー、私も1番か2番目くらいに好きなキャラです。
FF15ゲットだぜ!🔥🎉😋💯#FF15 pic.twitter.com/S5nRtkcp5P
— CHAMA (@boc_chama) 2016年11月29日
2016年11月29日のチャマさんのツイートですが、しっかり発売日にFF15を購入してます。(しかも限定版)他にもFF13の主人公ライトニングがルイヴィトンとコラボした写真もツイートしてました。
新宿とライトニングさん⚡💙 pic.twitter.com/o0cvUfuEIe
— CHAMA (@boc_chama) 2016年3月5日
チャマさんのツイッターを見てるとちょいちょいFFが出てきますね、好きなのが伝わってきます。
私はFFはスーファミから入ったものなのでファミコンで発売されたFF1~3は未プレイですが、メンバー全員がFF3には思い入れがあるようです。
初期のFF最高傑作とも言われる「Ⅲ」ですが、実はあまりリメイクされなかったせいか多くの人がプレイしたことのない作品とも言われています。
だから升さんは藤原さんからファミコン本体とソフトを借りないとプレイできなかったのです。1990年にファミコン用ソフトとして発売され現在では「ファミコンミニ」に収録されています。リメイク版はスマホでダウンロードして遊べます。
ゲームの内容は光の4戦士が世界を救うお話ですが、升さんは4人の光の戦士にメンバーの名前を付けてプレイしていたそうです。チャマさんは子供の時に「光の戦士になれねえかなあ」って本気で考えていたそうです。
ゲームクリエイター野村哲也との出会い
野村哲也 画像:twitter.com
FFを始め、様々なゲームのキャラクターデザインやディレクターも務めるスクウェア・エニックスの野村哲也さんとバンプの出会いは2005年に開かれた「FFⅦアドベントチルドレン」の試写会に呼ばれたことがきっかけで一緒に食事に行った時です。
FF7 アドベントチルドレン」gamek.vn
その時は野村さんから「何か機会があったらご一緒できたらいいですね」という返事を貰っていましたがそれから2010年にテーマソングの話がくるまでに初対面からずいぶん長い期間が空きました。
しかし野村さんは決して社交辞令ではなく本当にバンプと仕事がしたいという想いはずっと持っていました。どうして何年もタイアップが実現しなかったのかと言うと、バンプに本当に合う作品ができるのを待っていたからです。
“藤原さんの世界観と融合してもいいものにはなりそうにないからやめようみたいな感じで。この機会がくるまで待ってた感じですかね”
野村哲也
出典:CUT 2011.10
そして“ファイナルファンタジーでありながら新しい”ことと“テーマ的に重いストーリー”ということでバンプにピッタリのタイトルというのが「FF零式」だったのです。藤原さんの描く世界観や趣向などまでちゃんと野村さんは考えてくれていたようです。お互いの作品に対し理解と尊敬があったからこそ「ゼロ」という名曲が生まれたのだと思います。
しかも開発ディレクターを務めた田畑端さんは「この曲無くしては本作は完成しない」とコメントし、曲の出来があまりにも良かったので、ゲーム中に楽曲が流れるシーンを曲とマッチングさせる為に全て作り直したそうです。
「ゼロ」の初回限定盤ジャケットにドット絵のバンプメンバーが描かれていますが、あれはスクウェア・エニックスにお願いしたら快く作ってくれたもので、他にも零式に出てくる0組の制服や瀕死バージョンなどいろいろ作ってくれたそうです。
どうやって「ゼロ」は生まれたのか
FFのテーマソングを男性が歌うのはバンプが初でした。藤原さんがタイアップ時に心がけていることは、“タイアップの作品に寄せないこと”と“自分らしくあること”だと話しています。
藤原さんが「ゼロ」を作曲するに当たって彼にインスピレーションを与えたのは“キャラクターが一堂に会している一枚の絵”でした。
藤原さんが見た絵はまだCGになる前の野村哲也さんが書いたイラストのものでしたが、絵を見た時から曲のコードとかが決まっていたそうです。だから完成も早かったようです。
“絵を見て、自分の頭のなかの工具箱の引き出しがガバッと開いて、どのパーツをどういうふうに組み合わせていくのかみたいなのが全部こう、勝手にわかったみたいな感じですね”
藤原基央
出典:CUT 2011.10
曲を書き始めたのは2011年初頭ですが、藤原さんが知っていたことは戦争がテーマということだけで、キャラクターの名前、ストーリーなど知らない状態でインスピレーションだけで書き上げてしまいました。それだけの情報であれほどの曲を作れたのはFFに対する愛とリスペクトであり、自分の表現するフィールドとFF零式のフィールドが重なる部分が大きかったのでしょう。
それに加えてタイアップ相手である野村哲也さんをはじめとする開発スタッフも藤原さんに合う作品ができるまで待っていてくれたのも大きな理由だと思います。
互いが互いを理解し尊敬し合っていたからこそ藤原基央の中から自然な形で曲が生まれてきたのだと思います。
ちなみに曲の完成時にタイトルがまだついていませんでしたがプロデューサーやスタッフからの意見で「ゼロ」というタイトルに決まったそうです。
藤原が「ゼロ」に仕掛けたからくり
お気づきの方も多いと思いますが「ゼロ」の間奏部分にはある仕掛けが施されています。これはタイアップならではのものでファイナルファンタジーのファンにとっても嬉しい仕掛けだと思います。動画にまとめて下さってる方がいたので、百聞は一見に如かずということで下の動画をご覧ください。
FFにはシリーズを通して「ファイナルファンタジーのメインテーマ」という楽曲があり「ゼロ」の間奏部分に「ファイナルファンタジーのメインテーマ」を挿入できるようにコード進行や展開にアレンジが仕掛けられています。
野村「最後に打ち合わせをしたときに間奏のところに仕掛けがあるっていうお話を聞かせてもらって」
藤原「そうです、はいはい」
出典:CUT 2011.10
これは涙もんですね!特にバンプとFF両方のファンの人にはたまらない仕掛けです!藤原さんのFFに対するリスペクトが伺える仕掛けですし、むしろこの仕掛けがあったからこそ楽曲がさらに良くなってる気もします。私、ゼロの間奏部分すごい好きなんですよね。
こんなこと言っちゃあれですけど、藤原さんが今までのタイアップでここまでのことしたことありませんよね。そもそも相手の作品に寄せることはないって何度も言ってますからね(笑)
それだけFFが好きなんでしょうね。バンプとFFについて語りましたが、少しでも両者のお互いに対するリスペクトや愛を感じて頂けたら幸いです。